どこから説き起こしてよいのやらわからない、こういった諸々のお話でございますが、「MARCとは何ぞや」というご質問を受けましたので、わかる範囲のことを少し書いてみようと思います。
図書館についての諸々を知るには何を見るのが一番効率がよいかと言いますと、これは、『図書館ハンドブック 第6版』 日本図書館協会 2005年 ということになるでしょう。ムスリムにとってのクルアーン、法律家にとっての六法全書のごときもの、と言っては言いすぎかもしれませんが、某国立図書館の採用試験を受けるなら、これを読み込めと、その昔言われたものです。版を重ねて、第6版が最新。内容も大きく変わっていて、日進月歩とまではいかないものの、刻々と変化する図書館事情をよく網羅してあり、「今」の状況がよくわかります。今から書く文章中の引用は、すべてこの本からです。
まず、図書館においての「目録」というものについて。
今は少なくなったかもしれませんが、昔はどこの図書館に行っても、かなりの広いスペースに、木やスチールでできたケースがずらりと並び、何人もの人が引き出しを開けて中に入った小さなカードを見ている、という光景がありました。そういう光景を見られた方も多いと思いますが、あれが図書館における「目録」です。正確には、目録の一種、「カード目録」です。
何のためにそんな広いスペースを割いて「目録」が置いてあるか。その昔、カッターという人が述べた、目録の目的は、
「1・ある図書について、著者、タイトル、主題のいずれかを手がかりに、その図書を発見できるようにすること。
2・その図書館が著者、主題、文献の種類、の観点から何を所蔵しているか示すこと。
3・版(書誌的)、性質(文献またはトピック)の観点からの図書の選択を援助すること。」
つまり、目録というのは、利用者が本を探すのを助けるために存在するもので(違ったご意見もございましょうが)、図書館に、絶えて目録なかりせば、わたしたち利用者は、膨大な本の海から一冊の本を見つけ出す手がかりもなく、途方に暮れてしまうわけです。
ことほどさように、目録とは図書館にとってとても大切なものなのでございます。目録の形態や歴史などの話は省略いたしますが、日本ではだいたい、「日本目録規則 1987年版改訂3版」にしたがって書かれていると思います。ただこれは昨年出たばかりの版なので、実際はもっと古いものを使っているかもしれませんが。
さて、昔は目録カードなどに手書きで書いていた目録(今でも「目録法」の授業では学生が手書き目録を書いているはず。練習用のカードもある)の世界にも、機械化、電子化の波がやってくるわけです。それが、MARCと呼ばれるものです。
「MARCとはMAchine Readable Catalogingの略であり、「機械可読目録」と訳されている。字義通りでは、「コンピュータで処理可能な形式の目録」という意味であるが、より正確には以下を意味している。
1・書誌データの記録形式を定めたMARCフォーマット
2・書誌データベース頒布サービスとしてのMARC」
自前で目録を書く(手書きでもデータ入力でも)というのが本来的ではあるものの、カード目録の時代から、実は目録のアウトソーシング化は進んでおり、MARCが主流の現在では、官製、民間合わせて数種類のMARCが存在し、多くの公共図書館では、そういった中から市販されているMARCを購入して使っているわけです。
余談ですが、手書きの目録を書く機会が減ろうとも、音楽の心得がない者にMIDIは扱えないように、手書きの目録の知識を持たずして、コンピュータの目録が書けようはずもございません。そこんとこよろしく、と言いたい場面にも時折遭遇いたしますね。
「20世紀後半になると、冊子目録やカード目録のデータを作成するための手段としてコンピュータが用いられ、やがてコンピュータで作成されたデータをそのまま利用する方法が追求され、磁気テープに目録データを記録するMARCが開発された。」
この中で、物理媒体を介さず、ネットワークで接続されたコンピュータにより直接アクセスできるようにしたものをオンライン目録と呼びます。特に、利用者が直接的に目録用端末から資料を検索できるようにした閲覧用目録をOPAC(online public access catalog)、オーパックと呼びます。
今の図書館で、大きな場所を取っていた目録カードケースの置いてあった場所に、端末が並んでいるのをご覧になったことがあると思いますが、あれがOPACです。皆さん、あの端末から、目録のデータベースにアクセスしているわけなのです。
また、近年では、インターネットが普及するに連れ、蔵書目録をwebで公開するようにもなりました。図書館に行かなくても資料が検索できたり、予約もできるようになって、利用者にとっても職員にとっても大変便利になりました。このwebで公開された目録を、Web OPAC(ウェブオーパック)と呼んでいます。
さて、M.Kさん、お調べいただいたこととほとんど重なっていると思いますし、技術的なことはずっとお詳しいことと存じますので、一応補足として概略をお話しさせていただきました。
*****Web検索してみたのですが、かなり認知されてる略語なんですね*****
そうですね。図書館関係者であれば、必ず知っているし、知らないと業務に支障を来たすほどの言葉です。ただ、あまりにも日常語彙であるがゆえに、なんとなくこんなもん、との理解に留まり、いざ説明しようとするとちゃんとわかっていない・・・という事態になりがちな語ではありますね。
*****蔵書データベースのフィールドとしてダウンロードって感じですかね(多分 新しい本が 入って着た時の業務)*****
その通りです。うちも自前で目録を作っているわけではなく、アウトソーシングで市販のMARCを買っています。一部の寄贈本や行政資料、古書、コミックなど市販MARCデータがないものはもちろん自前で入力していますが。
自館で新たに購入した資料のMARCデータが週1回配信されますので、それをダウンロードしてきて、目録データベースに落とし込むわけです。細かく申しますと、MARCデータには、書誌データとローカルデータの両方があり、書誌データは先に全件MARCとして中央で別途一括登録してある(ちなみにこれを使って発注業務も行います)ので、その書誌データに、ローカルデータをくっつけるわけです。書誌に「所蔵」を付ける、というわけです。
*****ダウンロードした後 MARC が訂正になったら どの様に整合性 合わすんですかね*****
MARCの元データの誤りは、実は多いです(近年のものにはあまりありませんが過去のものには多く見受けられます)。目録データベースに登録したMARCデータは、自由に訂正ができますが、各館で訂正するのはローカルデータまで、と内規で決められております。なぜなら書誌データは全館で共有するものなので、各館がそれぞれさわり始めると収拾がつかなくなる恐れがあるからです。あまりに目立つ誤り(いまやほとんどないですが)は業者さんに報告したりもしますが、そちらの訂正状況まではちょっとわかりません。ただ、特に「版」の問題は書誌同定上、微妙ですので、少々の疑い(?)は持ちつつも、MARCをそのまま使っているというのが現状ですね。ほんとはもっと厳密でないと、とは思うのですが。
以上、長々と失礼いたしました。
これを書きながら食べていた、バルニエ(BARNIER)というメーカーのゲランドの塩バターキャラメル、すんごくおいしい!!コーヒーによく合うので、何個でも食べられて非常に危険(笑)。名古屋のDEAN&DELUCAで買ったものだけど、もっと買っておけばよかったなあ・・・。このおいしさは、アンリ・ル・ルーに迫る。
丸い木箱もかわいい。表面の絵は、ブルターニュ地方、ゲランドの塩田の絵。ブルターニュ地方のかぶりもの(何て言うんだっけ?)をかぶった女性が、いかにも~な郷土色。京都のものに舞妓の絵が描いてあるようなもの?
こちらで見かけた方は「買い」です。そしてぜひご一報を(笑)!
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