2008年4月26日

神戸の北の方(3) パティスリー・モンプリュ

 「神戸の北の方」ではないけれど・・・(笑)。山から下りて来て、三宮へ。おもしろいのは、山の中だ山の中だと思っていたら、あっという間に街になって、またあっという間に繁華街になるところ。この、どうなってるんだ?的感覚は慣れないのでおもしろい。トモちゃんによると、神戸で自転車に乗る人はあまりいないそう。確かにあまり走ってもいない。これだけ坂ばかりだといやになるのだろう。たぶんわたしはここでも乗ると思うが(笑)。

 有馬街道を下りていく途中、神陵文庫という医学書の専門書店があって、その店のショーウィンドウに、白衣を着た骸骨が一人立っていた。なんだか妙に愛嬌があってかわいい。トモちゃんに、あれ、女の子なん?と聞くと、そうだと言う。昔彼女はよく先生からお遣いを頼まれてここに医学書を買いに来たらしいが、骸骨少女は昔からいて、クリスマスシーズンにはサンタ服なんぞも着たりするそうな・・・。車止めてもらって写真でも撮っておけばよかったなあ・・・(笑)。

 さて、三宮には前々からぜひ行ってみたいケーキ屋さんがあった。 048

 パティスリー・モンプリュ。これは略称(?)らしく、正しくは、monter au plus haut du ciel モンテ オ プリュ オー デュ スィエル(もっと空高く上がる、の意)という名前らしい。きっとシェフの思いが込められているのだろう。

 ホテルオークラ近くの駐車場に車を止めて、迷うことなくすぐ店に着いた。持つべきものは、神戸っ子の妹(笑)?しばらく待って、イートインへ・・・。土曜日の夕方とは言え、人気店だけあってお菓子はどんどん製造されているようで、まだまだ種類も豊富。先にショーケースからお菓子を選ぶ。049

 迷いに迷ってわたしが選んだのはこれ。ルリジューズ。ルリジューズ、とは「尼さん」の意で、二つ重なった小さなシューと、その間の白いバタークリームの飾りが、白い襟を付けた尼さんの姿に似ているということから名づけられた、フランスの伝統菓子だ。ただしこの尼さんはかなりおしゃれで、ピンクの衣を着ている(笑)。薄茶色の衣のことが多いのにねぇ・・(笑)。コスプレ系尼かも。

 ピンクの衣は、ぽってりと甘~いフォンダン。塩味を効かせてしっかり焼きこんだシューの中にはキルシュが効いたどっしりとしたクレーム・パティシエール。もう、一口食べた瞬間、このお菓子を選んでよかったなあ・・・と(笑)。050_2

  弟が選んだ、ピュイ・ダムール。「愛の泉」という名の、これもフランスの伝統菓子。やはりシュー生地がベースで、クレーム・シャンティイーとクレーム・シブースト。上はこんがりと香ばしくキャラメリゼ。伝統菓子はいいもんだけど、残念ながら京都ではあまり食べられません・・。

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 ナッツ好き、トモちゃんが選んだのはプレジダン。「大統領」の意。二種類のダックワーズのような生地(ジャポネかもしれないし、シュクセかもしれない)にローストした薄切りアーモンドがぐさぐさと・・・(笑)。香ばしくて、ナッツ好きにはたまらんだろうなあ、という豊かな風味。わたしもアーモンドはそんなに嫌ではないので、一個はいらないけど、おいしいと思った。052_3

 レザンティーユ。上の白い部分は、酸味のある、カカオ豆のムース。カカオの風味なのだけれど、チョコレートとはちょっと違う。下は濃いガナッシュに、ナッツ入りのビスキュイ(だったかな?)。

 名前は、アンティーユ諸島、の意。エキゾティックな感じがする、クレオールの住む島。産物のカカオを使っているからか、白と黒のコントラストがクレオールをイメージさせるからなのか・・・。いろいろとイメージを膨らませられる名前っていいな。

 ココットに入った、とてもおいしそうなオレンジのクリーム・・・。後で買って帰ろうと思ったけれど、帰りにはもうなかった。弟曰く、最初にキープしとかへんからやん!へいへい、ごもっとも。

 代わりに、マドレーヌとか、ケック・オ・フリュイとか、オレンジのサブレとか、焼き菓子を少し買う。ジャムも売っていたので、ちょっと珍しい取り合わせの、カシスと栗のジャムを買う。カシスと栗の実がごろごろ。甘味を抑えて、果実を濃縮したような強いジャムだった。 

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神戸の北の方(2) 弓削牧場

 有馬温泉を後にして、遅めのお昼を食べに行ったのは弓削牧場。住宅街の真ん中に広い敷地の牧場があるなんてかなりびっくりする。神戸は、山と街と海の距離がとても近い。046

 ホルスタイン。大きい!ここでは24時間放牧をしているそうだ。毎日牛乳を搾り、チーズを作って・・・なんて、北海道とかそんなイメージだけれど、でもここは神戸市内なのよねぇ・・・。047

 庭にはハーブがたくさん植わってる。これはローズマリー。このハーブはローストしたじゃがいもとか鶏肉なんかにとてもよく合っておいしい。花は初めて見るけれど、紫の小さな花がとても愛らしい。Scarborough Fair の歌詞なんかを思い出す。♪Parsley, sage, rosemary and thyme...035

 チーズハウス・ヤルゴイでは、乳製品をたっぷり使った料理やお菓子が食べられる。トモちゃんが予約をしておいてくれていて、チーズのフルコースを食べる。

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 ホエージュース。ホエーというのは、乳清のことで、牛乳からチーズを取った後の上澄み。それをパイナップルジュースで割ったものがこれ。ほのかな甘味と酸味がある、柔らかなヨーグルトのような風味。026

 カマンベールチーズ。ちょうど良い熟成加減で、とろりと柔らか。

 生チーズの冷奴風。ここのスペシャリテ、フロマージュ・フレを、さらし玉ねぎ、大葉、すだちと醤油で食べる。最初はほんとに合うのかなあと半信半疑だったけれど、これが合う!フロマージュ・フレと言えば、蜂蜜やジャムやお砂糖で甘くして食べるばかりだったけれど、これはまた新しい発見だ。028

 キッシュ・フィーヌゼルブ。庭にたくさん植わっているハーブを使ったキッシュ。中にも生チーズがたくさん入っている。029

  自家栽培の摘みたてハーブサラダ。彩りがとてもきれい。いろいろな西洋野菜と、エディブル・フラワー、香りのよいハーブ。やはりここにも生チーズが添えられていて、ドレッシングと混ぜて食べる。

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 ホエー(乳清)シチュー。これもここのスペシャリテ。ホエーをベースにカマンベールを風味付けに溶かし込んだシチューはとてもさらっとしているのに、豊かなこくがある。香りもとてもよくて食欲をそそる。中に入った鶏肉の味もいい。スーフをパンに染み込ませて食べるとまたおいしい。031

 牧場の丸パン。プレーンと、くるみが入ったの。

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コールドビーフの生チーズ添え。牛肉にハーブと生チーズを巻いてポン酢で食べる。033

 何種類からかデザートは選べる。わたしはアンジュを。これはつまりクレメ・ダンジュで、生チーズとクレーム・シャンティイーを合わせて水分を軽く切ったもの。「ざる豆腐」といった感じかな。添えられたブルーベリーソースも自家製で美味。トモちゃんはナッツ好きなので、ピーカンナッツのタルトを、弟はヴァニラアイスクリームを食べていた。もちろん味見(笑)。

 最後はやはり牧場なのでカフェオレで。これは残念ながらもう一つだったな。なんでだろ?

 生チーズけっこう食べたねぇ・・などと言いながらのんびりくつろぐ。山羊や羊を見たり、牛を見たり。そんなに「見学」というほどの施設はないのだけれど、街中からちょっと山へ行っただけでこういう空間があるのはやはり驚きだ。車がないと行けなさそうだけど・・・。                                       

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神戸の北の方(1) 有馬温泉

019_2  弟夫婦が、神戸の北の方へ連れて行ってくれた。ゴールデンウィーク 初日ではあったけれど、高速道路の流れはスムーズ。まずは有馬温泉spaを散策。

 有馬温泉は、日本書紀に出てくるほどの古くからの温泉地で、豊臣秀吉もここの湯が大好きだったとか。何百年も温泉地として賑わっているところって、なんだかすごい。関西の人なら一度は行っている人も多いと思うけれど、実はわたしは初めて。子どもの頃によく食べた炭酸煎餅の味とか、そのオレンジ色の缶だとか、♪有馬兵衛の紅葉閣へ~♪というコマーシャルの歌とかはよく覚えているのだけれど(笑)。一度来てみたかったんだ~!とは言え、今日はあまり時間もないので、散策のみで。たくさんの人で賑わう、教科書に載っているような温泉街、といった印象で、そんなところが期待を裏切らず、非常によかった。003

 神戸っ子トモちゃんの案内で、人形筆の店とか、竹籠の店など見つつ、源泉めぐり。

 有馬の湯は、鉄泉の赤い「金の湯」と、炭酸泉の透明な「銀の湯」の二つがあって、こちらは炭酸泉源の飲用の蛇口。昔はこの水に砂糖を入れてサイダーとして飲んでいたとか。

 早速飲んでみると・・・。むむ?鉄っぽいような、金属っぽいような妙な味・・・。微炭酸で、ほんのり甘い?弟もトモちゃんも、すごい味や~。飲めん!とか言っていたが、わたしは最初こそ、げ!と思ったけれど、味をしっかり確かめるために何度か飲んでいたら、最初の金属っぽい味がなくなってきて、だんだんおいしくなってきた(笑)。最後にはコップを持ってくればよかったと思うほどに(笑)。なかなかくせになる味だ。そう言うと、二人はドンびきだった。010 009

 こちらは、「天神泉源」。北野の天神さんを分祀した神社の中にある、「金の湯」の泉源。鉄泉なのでお湯は真っ赤。神社の階段まで赤い。

 「妬(うわなり)の泉源」は、美人が通ると勢いよくお湯が噴き出すのだとか。トモちゃんとわたしで、いつもの二倍はごうごうと温泉が噴き出したことは言うまでもないな、弟よ。. 007_2

 塩分も含まれているようで、蛇口(?)には結晶した塩がびっしり。強くはないが硫黄の匂いもするので、鉄だけというわけではないのだろう。結晶を舐めてみると、硫黄風味の塩。これも湯の花の一種??

さすがにこれは飲用にはしないようだった。014

 時間があったらもちろん温泉に入るところだけれど、それは次回のお楽しみにとっておいて、今日は足湯に入る。かなりぬるいお湯と熱いお湯の二つがあって、足だけでもつかっていると体全体が温まってほかほかに・・・。

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 有馬温泉おやつ図鑑(笑)。弟が手タレさんとして登場。

 ありまサイダー。さっき飲んだ炭酸泉に砂糖が入ったような味かなあ、と思ったが、こちらはかなりおいしいし、一口目にちょっとびっくりするような強炭酸で、思わず次々に、げほっ。004

 タンサンクーベル。古い炭酸煎餅の製造工場の一角に販売スペースがあり、「タンサンクーベル」なる文字が・・・。それは何ぞやと気になったので尋ねてみると、炭酸煎餅の間に生姜風味のクリームをサンドしてあるとか。ゴーフルみたいなものだけれど、生姜風味というのが新鮮だったのでおやつに購入。クリームも煎餅もおいしい。あと、店先で蒸し立ての温泉饅頭1個60円也を分けて食べたのだけれど、熱すぎで写真どころじゃなかったのよね。でも熱いおまんじゅうは皮もあんこもとってもおいしかった。012

 炭酸煎餅の老舗、三津森というお店の看板。なんとなくいい感じ。もちろん炭酸煎餅をおみやげに買う。試食用のをつまんでみると、子どもの頃に食べた懐かしい味。炭酸煎餅の店はたくさんあるようだけれど、店によって味が違うものなのだろうか・・・。020 021

 隣接する、温泉禅寺湯泉(とうせん)神社。階段の上の温泉神社には下から参拝。

 温泉禅寺は、黄檗宗。「珍しいな」と弟。そうかも。それに黄檗宗だけど、中国風な要素はなし。大きなご本尊は、薬師如来で、やはりこれは温泉の薬効と関係があるのだろうか。

 延喜式の神名帳に載っている古社(つまり式内神社)湯泉神社には、有馬を発見したとされる、大己貴命(おおなむちのみこと、大国主命)、少彦名命(すくなひこなのみこと)、熊野久須美命(くまのくすみのみこと)が祀られているが、大己貴命、少彦名命と言えば、薬祖神。これもまた温泉の薬効と関係があるのだろう。薬種問屋に奉公する弟も気付いて同じことを言う。

 短い時間だったけれど、温泉気分が味わえてとても楽しかった。今度はゆっくりと温泉に入りたいなあ・・・。

 それにしても、近くに火山があるわけでもなさそうなのに、熱い温泉が湧き続けているというのは本当に不思議だ。本当は平らな火山(?)があったりして・・・。怖いよ。

 余談。この記事でちょうど1000件目です。よくもまあ書くことがあるものだよ。

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2008年4月22日

淡海の海は凪の海

007_2   淡海の海夕波千鳥汝が鳴けば心もしのにいにしへ思ほゆ

 ご自慢のプジョーのオープンカーに乗せてもらって海津大崎へ。オープンカーなどというものに乗るのは初めてで、何とも気恥ずかしいものであるように思うが、初夏を思わせるよく晴れた日の湖岸のドライブは、さわやかで気持ちのよいものであった。

 雨が多かった今年は桜も例年より一週間ほど早く散ってしまったようで、ほんの少しの花を枝に残して大半は葉桜。021

 琵琶湖は、凪の海のよう。古の人が「近い海」と呼んだのもよくわかる。ここまで北上すれば水もとてもきれいで、透明な水の中に半透明の魚の群れがよく見える。

 帰りはまた湖岸道路を通り、琵琶湖大橋を対岸に渡って、「さざなみ街道」を通って、再び北上。近江八幡を目指す。

 天智天皇のころ、ここに都が置かれたことがあった。

玉襷(たまたすき) 畝火の山の 橿原の 日知(ひじり)御代ゆ生(あ)れましし 神のことごと 樛(つが)の木の いやつぎつぎに 天(あめ)の下 知らしめししを 天(そら)にみつ 大和を置きて あをによし 奈良山を越え いかさまに 思ほしめせか 天(あま)離(ざか)る 夷(ひな)にはあれど 石(いは)走る 淡海(あふみ)の国の 楽浪(ささなみ)の 大津の宮に 天の下 知らしめしけむ 天皇(すめろき)の 神の尊(みこと)の 大宮は 此処(ここ)と聞けども 大殿(おほとの)は 此処と言へども 春草の 繁く生ひたる 霞(かすみ)立つ 春日の霧(き)れる ももしきの 大宮処(おほみやところ) 見れば悲しも
 

楽浪(ささなみ)の志賀の唐崎(からさき)幸(さき)くあれど大宮人の船待ちかねつ
 
楽浪(ささなみ)の志賀の大わだ淀むとも昔の人にまたも逢はめやも

 「さざなみ街道」の表示を見て、この「さざなみ」って名前は何だったっけかなあ・・・?とぼんやりと思い出していたのだが、こういうことを習ったのがあまりにも昔のことゆえ、明らかには思い出せず。帰ってちょっと調べ直してあらためて歌を読んでみると、この長歌のリズムが何ともよかったので思わず全文引用だ(笑)。出典はもちろん万葉集。柿本朝臣人麻呂が、荒れてしまった近江の都を通りかかったときに詠んだ歌。長歌と反歌二首。

040  近江八幡は、日牟禮八幡宮。宇佐の神を勧請した、いかにも歴史がありそうな古社。本殿は正暦2年の創建と書いてあったが、「正暦」っていつ(笑)?(なんと後で調べたら900~994年だった)

 そしてその境内には・・・、034

 クラブハリエ。もう説明などいらないくらいの有名店ですね。なので説明なし(笑)。035

 ここのカフェのみで食べられる、ほんとの焼き立ての、まだほんのり温かいバウムクーヘン。しっとりと柔らかで、ちょっとした贅沢といった感じ。

 この4月、プチ旅行運がよいみたい(笑)。

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2008年4月14日

春の和歌山(2) 加太へ

 お昼を過ぎる頃には厚い雲の隙間から、明るい春の日が射し、晴れて、絶好の和歌山日和となった。和歌山は、太陽の光にきらきらと輝いている明るいイメージ。だからこんな日は和歌山日和(笑)。出かける前は、根来寺に行こうかなと思っていたのを急遽変更。やっぱり、加太へ行こう!

 加太という土地の名を、そこで結婚式を挙げた友人から初めて聞いたのはもう15年近くも前のこと。それ以来、何人もの人が、どういうわけかわたしに加太の話をする。その人たちがお互いに知り合い同士なわけでもないのに。最近では読んでいた酒井順子さんの本にも加太の名が・・・(笑)。そんなわけで、ずっと気になっていたのだけれど、どんなところなのだろうと想像するばかりで行ったことのなかった土地。暖かくなったら、一度行ってみようと思っていた。和歌山日和を待っていたのだ(笑)。

Photo_3 和歌山まで戻って、井出商店(有名店らしい)という店で、最近メジャーな和歌山ラーメンめはりずしで遅い昼食。バスで、南海の和歌山市駅まで行って、さらに南海加太線に乗り換えて20分少々。これものんびりと町の中を走る電車だ。加太は終点。海がきれいだと聞く。途中でちょっとだけ海が見えたけれど、すぐに隠れて見えなくなってしまって、駅の周辺を見ただけでは、海の近くだということはあまりわからない。観光案内所でマップをもらって、淡島神社まで歩いてみることにする。

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しばらく歩くと海が見えた。果たして加太は、漁港であった。停留する漁船、友ヶ島へ渡る連絡船、風に揺れるわかめに、潮の香り。和歌山市内なのに、なんだか遠くに来たんだなあ、という感じがして、そんな気分が、まさに旅。京都市内に住む人にとって、海は日常の風景ではないから、それだけでも旅の気分がするものなのだ。

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 陽光きらめく加太の海は穏やかでとてもきれい。想像していたのはもっと断崖絶壁(なんで?)の海だったので(笑)、やさしげな海の風景にちょっとびっくり。

 いいなあ。海ってこの前はいつ見たっけ?春の海ひねもすのたりのたりかな。ゆったりした気分になるみたい。

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 3月3日の雛流しで有名な淡島神社。うちの近所の粟島堂も、こちらとつながりがあって、やはり女人守護と人形供養の寺となっている。

 粟島堂の駒札によれば、

 「寺伝によれば、応永年間(1349~1428)南慶和尚が紀伊国(和歌山県)淡嶋から淡嶋明神を勧請して上洛する際。当地あたりで急に御神体が重くなったので神意としてここに祀ったのが起こりといわれている。以来。宗徳寺の鎮守社。粟島神社として祀られてきたが、明治時代の神仏分離により粟島堂と改められた。」

 粟島堂は子どもの頃から馴染んだお寺だし、そういうゆかりのあるところにお参りできたのは本当によかった。017

 さすがは人形供養の神社。そう広くはない境内のそこここに、人形がびっしりと並んでいる。こうして年に一回の供養の日を待っているのだろうか。わたしも。祖母に2歳のときに買ってもらった赤ちゃん人形を今も持っている。ぼろぼろになってしまっているのに未だに手放せないでいる。人形は、人の思いの籠るもの。形代だからね。そうそう捨てたりできるものではない。 010  

 初めて訪ねた加太は、こんなところでした。

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春の和歌山(1) 第三番 風猛山 粉河寺 

ちちははの 恵みも深き 粉河寺 ほとけのちかひ たのもしの身や

 春の和歌山へ、西国三十三ヶ所札所巡りの旅。1番・青岸渡寺、2番・紀三井寺、そしてこの3番・粉河寺で、和歌山の札所はすべて回ったことになる。

 8時36分京都発のオーシャンアローに乗って一路和歌山へ。特急に乗ると和歌山は近い(注・南紀に行くのでなければ)。和歌山から和歌山線に乗り換えてさらに30分ほど。二両編成の電車は家と畑の間をのんびりと走る各駅停車。整理券を取る方式のワンマンカーのJRの電車は初めて見たし、初めて乗った。こんなローカル線にのんびりと揺られていると、女テツになったような気分(笑)。

 和歌山らしく、沿線の桃の林では、かわいらしい桃の花が濃いピンクの花をつけている。粉河に着いて南の山を見れば、山の中腹が桜の花で白く見える。外山の霞立たずもあらなむ・・・。いいなあ、こういう春の風景。003 004

 粉河寺は、鎌倉時代には七堂伽藍が立ち並ぶ偉容を誇ったが、豊臣秀吉の紀州攻めで伽藍や寺宝の多くが消失。そのときにご本尊の千手千眼観音菩薩も消失し、今は頭部のみが残っているのだそう。でもそれは永遠の秘仏だそうで、決してご開帳されることはない。

 300円の志納金を払えば、内陣を拝観できるのだが、これはお金を払っても見ておくべき。とにかく間近で仏像などが見られるのがすごい。何もかもが目の前に、手に取って見られるところにある。ちょっと京都のお寺などでは考えられないことだ。法具が大好きなので、まじまじと近くで見る。

 粉河寺と言えば、国宝の「粉河寺縁起絵巻」!ぜひ見なければ、と思っていたら、なんとこれは、京都国立博物館に寄託中。←よく調べておけよ~(笑)。006

 お参りを済ませ、御朱印をいただいた後は、のんびりと境内を散策する。着いたときには札所ツアーの団体さんがいたのだが、彼らが帰った後は広い境内にほとんど人はなく、非常に静か。名残の桜が、風が吹くたびはらはらと空に舞う。時折雨のぱらついていた曇天も、正午過ぎからは急速に晴れて、雲間から明るい春の日も射してきた。

 009_2 京都のお寺を見慣れているため、他の地方のお寺に行くと、ちょっと雰囲気が違うことをよく感じる。たぶんそれは建築様式であったり、建物の造りであったり、東北などに行くと顕著であるが、仏像の持つ雰囲気であったり、いろいろ。

 この写真は、桃山時代に造られたという、3種類の大きな紀州石を配した枯山水庭園。見ればソテツの木が植えられていて、こういったところも南国らしく、京都とは違う雰囲気を醸し出していると思う。001_2 005

 参道の脇には、お寺の名前の由来となった粉川(長屋川)の流れ。

 ゆったりと、静かな時間が流れる。

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2008年4月 6日

洛西桜散策(1) 洛西桜まつり

 咲くまでは今か今かとあんなに待ち遠しいのに、咲いてしまえばあっと言う間。いろいろな場所へ見に行く暇もなく、考えあぐねているうちに早くも散り始めてしまうのが桜というもの。

 今日はよく晴れて暖かな絶好のお花見日和。ちょうど公休に当たっていたので、桜をたどって洛西散策。009 郊外にはまだまだ見たことのない桜も多い。

 「5・6日と桜まつりがあるよ」と好青年Fさんご夫妻に声をかけていただき、阪急とバスを乗り継いで、洛西バスターミナル近辺へ。朝市も出るらしいので、午前中に出かける。4月からこの近くに異動になった方へ記念写真などもお届けに伺い、少しお話。元気でやっておられるようで何より。

 朝市でご夫妻が待っていてくださったので、親しくされている朝市のおばさんとFさんの筍談義などを面白く聞く。西山まで来たのだから、掘り手(つまり、所有する竹薮の土壌?)によって味が違う、という筍を買おうと思ったのだけれど、さすが皆おいしいものは知っていると見て、もう既に売り切れていた。食材王Fさんおすすめの「かぐや姫の味噌」の熟成させたものを買う。ここでもおばさんたちと味噌談義。

 011 一時間ほど、ご夫妻に近辺を案内していただく。小畑川沿いの桜は、こんなにきれい。たくさんの人がシートを広げて焼き肉やお弁当を楽しんでいる。屋台や舞台や大道芸も出て、賑やか。地元の人のための和やかな地域のお祭りといった感じだ。

 ソメイヨシノだけではなくて、白くて可憐な山桜、大きくてちょっとりんごの花のような桜に、一番好きな紅しだれなど、散策しているといろいろな種類の桜があるのがわかって、あれこれと桜談義。

 お昼過ぎに、昼からご用事があるご夫妻と別れる。ご案内、ありがとうございました。とても楽しかったです(^^)。

 こんなよい天気なのだから、お昼はラクセーヌで調達して外で花を見ながら食べる。そして次の目的地、善峰寺へ・・・。  

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2007年11月13日

ひこにゃんvsしまさこにゃん

 彦根城築城400年祭も今月でおしまい、ということで、ほぼ滑り込みでひこにゃんに会いに行ってきました。最近何かと世間を騒がしているような感じのひこにゃんですが、まあ結局は、「関係者の誰もがここまで人気が出るなんてこと、予想もしなかったわ~」ということなのでしょう。もめているのは、ざっくり言って著作権の問題です。

 10時の新快速に乗って、彦根に向かいます。46分で着いてしまうなんて、案外近いものですね。

 ひこにゃんは有名ですが、しまさこにゃんはご存じでしょうか?先日、弟たちがうちに来ていっしょにごはんを食べているとき、父が何のつながりでだか「料理は道楽のが一番うまい」と言い出しました。道楽というのは、東山区にある古い古い、建物も古い料理屋さんです。一番に挙げるほど父が気に入っていたとは。それを受けて弟が、「道楽はもともと島左近の屋敷で・・・」と語り出すと、ともちゃんが、「それって、しまさこにゃん??」と言い、二人で「しまさこにゃん」を連呼しています。それは何かと問うと、

 ひこにゃんの敵キャラで、眼光するどく悪かわいい。でも民間のキャラなので、城にはいない、とのこと。「お姉ちゃん、ぜひしまさこにゃんにも会ってきてください!」「はい。」004

 で、会ってきました、しまさこにゃん。島左近というのは石田光成の軍師だった人らしい。石田三成は、豊臣秀吉の重臣。行ってみてびっくり、いしだみつにゃん、というキャラまでいるではありませんか!しかもグッズまであるし。いや、なんでも「にゃん」を付ければいいってものでもないような気もしますが(笑)。

 駅から古新しい不思議な感じの商店街を歩きましたが、意図して作り込まれた古さと、自然な「昭和のかほり」とも言うべき古さが混在していてなかなか楽しい散歩でございました。002 003

 街のいたるところに、ひこにゃんとしまさこにゃんがいます。右は、伊勢半という御菓子司のショーウインドウに飾られていた、じょうよ饅頭製のひこにゃんとしまさこにゃん。あまりにかわいいので買おうと思ったら、非買品でした。残念。008

 滋賀県は、やはり「たねや」王国。彦根城のすぐそばにも、広い敷地の「美濠の舎」というたねやとクラブハリエの複合ショップがありました。ここの茶屋にて、お昼ごはんを食べます。007

 平日限定の、近江牛の牛すじどんぶり。甘辛く味付けされたすじ肉がとろとろでおいしい。奥に見えるのは、栗豆腐。他に青菜のごまソースとお漬物、006

 サラダ(写真は3人分)がついて、892円は安かった・・・。お茶菓子に小さな薄皮饅頭も出たし。

 さあ、いよいよお城へ向かいます。009

 天守閣です。世の中には城フェチと呼ばれる方々もたくさんいらっしゃいますが・・・。天守閣は居住空間ではない、という程度のことを知っているだけで、恥ずかしながら、城については何の知識もありません。弟からは「あんたはどこに行っても値打ちがない」と言われています。

 彦根城は、国宝です。地味と言えば地味なのだけれど、けっこう派手な印象の城です。「ちょっとゴスロリ、というかゴスっぽい?」と言うと、M嬢、「まあ、城はゴシック的な要素ですから・・・」。ちょっと違うような??

 招き猫展を見たり、櫓を見たり、天守閣に上がったり。そう言えば姫路城(ここも行ったことはない)の天守閣には、草壁姫(だっけ?)そんなような名前の姫様の幽霊が住んでいると聞いたことがあるけれど、ここには誰もいないのかなあ?

 さあ、午後二時前、いよいよひこにゃんの時間です。天守前広場で半円になって、ひこにゃんの出待ちをします。014

 じゃ~ん。ひこにゃん!黄色い声が飛んでいます。いろいろなポーズを取ったり、踊ったりしております。人の少ない平日には一人一人と写真が撮れるそうなのですが、今日は人が多くて、握手会になってしまいました。花束やプレゼントを渡す人もいます。色紙持参で、サインを求めた男の人は断られてしまいました。

 握手をした手がけっこうリアルで、ちょっとびっくり。顔をさわると毛が気持ちよかったです。

 十分堪能(笑)したので、ちょっと休憩してからまた散策をしましょう。城の前には、裁判所などもあり、実は400年前から奉行所などの司法機関としてそこに建っていたのではないかと思わせます。今もこの界隈は街の中心部なのでしょうか。

 クラブハリエのティールームでお茶をします。ちなみにここでは、バウムクーヘンは販売だけで、食べられません。016_2

 3人いるので、ケーキが二つついているケーキセットとスコーンをオーダーして分けっこして食べました。ケーキはちょっと緑がかった色合いの和風テイストのモンブランと、ホワイトチョコレートとアールグレイのムースとチョコレートスポンジ、バナナ風味の生クリームの、イヴォワールというケーキです。クラブハリエの生菓子は食べたことがなかったのですが、けっこうおいしかったです。スコーンは小さいのが3個(プレーン・アーモンド・ごま)ジャムはりんごジャム。クロッテッド・クリームが本日は生クリームなのですが・・・と言われたのはいかにも残念。

 「キャッスル・ロード」という名前のついた、きれいに作りこんだ商店街を歩きます。琵琶湖まで歩いて行こうという意見は却下されました。ひこにゃんグッズやお土産を見たりしながら歩きました。017

 最後に、分福茶屋という店で、店先で焼いて売っている、つぶら餅(一個60円)を買って一個づつ食べました。見た目はたこやきみたいで、香ばしく焼けたお餅の皮の中に、あんこが入っています。熱々で、ちょっと中国菓子のごまだんごのような感じです。

 秋も深まり、日がくれるのがとても早くなりました。新快速で帰ります。上りの電車は「人身事故」のため、大幅に遅れているようでしたが、下りは正常ダイヤです。JRはどういうわけか、他の私鉄に比べて「人身事故」が多く、年末にかけてはさらに多くなるのです。駅のアナウンスを耳にすると、ちょっと悲しくなったりしますね。

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2007年10月 4日

風林火山(5) 躑躅ヶ崎館

Cimg0274  バスで甲府市街に戻って、お屋形様をめぐる旅の続き。躑躅ヶ崎館跡に建つ、武田神社へ。「お屋形様」の「お屋形」とはこの躑躅ヶ崎館のことを言う。

 「人は城 人は石垣 人は堀 情けは味方 仇は敵なり」と、武田信玄は、堅固な城を築くよりも、人を大切にすべし、と、生涯城を築かず、この躑躅ヶ崎館に住んだ。Cimg0181_2

 Cimg0182 神社は、大正8年の建立なのでまだまだ新しいが、鳥居、拝殿共に、どうどうとした立派なもの。勝運のご利益があるとか。

 お参りを済ませ、宝物殿へ・・・。そこには本物の「孫子の旗」があった。376cm×83cmのとても大きなその旗は、大きすぎて斜めにしないと宝物殿に収まらない。まさかこれを人が担いだとは思えない。馬に付けたのだろうか。ところどころ穴は開いているものの、紺地に金の文字はまだまだ読める。

 そして、「武田二十四将図」!(http://www.yamamotokansuke.com/shiro/takeda/)戦国武将おたくの弟からしつこく解説されたあの・・・(笑)。

 見れば、おお、小山田様!、馬場民部少輔!武田逍遥軒信廉、絵がうまい!などなど旧知の人物のような親しみを覚える(笑)。わたしは特におたくじゃないけど、本物が見られてよかったと思う。弟にも見せてやりたかったな。横で頼まなくても必ず解説するは必定なので、連れて来ていたらおもしろかったろう。Cimg0186_3

  住宅地をしばらく歩くと、武田信玄公の墓がある。自らの死を3年間は伏せよ、と言い残した信玄の死と埋葬には謎が多いようだ。

 この場所は、1573年(天正元年)に亡くなった信玄を火葬にした場所。武田氏家臣の土屋さんという人の屋敷らしい。当時から、恐ろしい場所として里人たちは近づかなかったと言うが、それはもしかすると死を隠すために、わざと噂を流布して人が来ないようにしたのかもしれない。そして、なんと200年後に甲府代官がこの場所で石棺を発見するまで、ここに信玄の骨が納められていることを誰も知らなかったという。なんだかぞくぞくする話である。

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2007年9月23日

風林火山(6) 常磐ホテル

Cimg0235_2  二日目の宿泊は、常磐ホテル。湯村の名門?かも。これは特筆すべき。

 市街地にありながら、敷地がとても広いことに驚く。玄関を入れば、目の前に広がるのが、写真のような緑豊かな日本庭園。奥に広がるのは各々渡り廊下で繋がれた、離れのお部屋。夕暮れ時の長い渡り廊下はとても風情がある。

Cimg0189_2 泊まったのは、その離れの中でも最も小さな「赤石」という部屋。小さいと言ってもわたしの感覚からすれば十分に広い。ベッドが二つに、食事用のテーブルに、縁側に、お着替えコーナー(?)に、なんと部屋付きの露天風呂。もちろん源泉かけ流しだ。湯村の湯は40.8℃の適温で湧いてそのまま入れる珍しい温泉。

 部屋に案内されると、まずお茶とお菓子。お菓子はホテルのオリジナルだという「松碧(まつみどり)」というおまんじゅう、お茶は係の方がお抹茶を立ててくれる。優雅な気分・・・。

 一休みしたら、早速温泉へ。広い浴場を貸切状態でのんびり入る。この間にワインも冷えているはず・・・。Cimg0209

 「昔ながらの」甲州、ルバイヤートをきんきんに冷やして。和食にはぴったりだろう。

 先附  山の茸(あみ茸 黒皮茸)おろし和え 林檎ワイン煮

 前菜  身延湯葉田楽 天子煮浸し 海老紅葉焼 焼栗甲州煮 安倍川銀杏

 吸物  若布新丈 袋茸 結び湯葉 芽ねぎ 香り柚子

 造り  鮪平造り 女鯛重ね 甘海老 芽もの 山葵

 焼肴  鰆西京笹の葉包み焼 白雪みかん はじかみ

 炊合せ  冬瓜スープ煮 秋刀魚万年煮 三色紅葉麩 隠元豆

 強肴  ローストビーフ 野菜添え 特製ソース

 進肴  白焼鰻 甘藷 小海老 秋茄子 串揚 甘長 青唐辛子 稲穂 すすき 生姜 紅おろし 天汁

 温物  鯛菊花蒸し 大和芋 枝豆 レホール 銀餡

 酢肴  帆立貝柱 北寄貝 ずわい蟹 白ダツ 胡瓜 土佐酢

 御飯  香の物

 留椀  甲州名物ほうとう汁

 水菓子 季節の果実

 食事は部屋食なので、食後もゆっくり。ふ~、極楽極楽・・・。

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2007年9月22日

風林火山(4) 昇仙峡

 夜半に激しい雨。その雨が翌朝まで残り、昇仙峡行きが厳しくなる。素泊まりゆえ、朝食は部屋に備え付けのコーヒーとお茶菓子のワインクリームゴーフレットに昨日ぶどう園でもらったぶどう。10時過ぎの遅めのスタートにしたが、まだまだ空は怪しい。かなり悩んだが、思い切ってに行ってみることに・・・。結果、その決断は大正解!目的地に着いたら空はうそのように晴れ上がった。

 バスは渓谷の上にある滝のところまで行っているが、わたしたちはふもとで下車して、歩いて滝まで上がるコースを選ぶ。089

 川沿いに舗装された歩きやすい遊歩道があり、その道をずっと登っていく。紅葉の名所らしいが、今はまだまだ目に鮮やかな青もみじ。昨夜の大雨で川が増水し、怒涛のような水。巨岩に打ち付けられて逆巻くうねり。あまりの迫力にくらくらする。気をしっかり持っていないと、ふらふらと引き寄せられて水に持っていかれてしまいそうな不穏な感じ。

 どうしてこんなに岩が大きいのだろう。おもしろい形の岩には名前がつけてあるようで、それらしいかどうかコメントしながら登ってゆく。途中、茶店で草もちなどを食べて休憩。茶店からの眺めもこれまた絶景。

 111_4 石門という実に不思議な、張り出した巨岩のアーチを抜ければ、いよいよゴールの仙娥滝(せんがたき)だ。落差は30メートル。

 昨夜の雨で増水した滝は、ガイドブックに載っている写真などとはまったく別ものに見える。水しぶきはすでにしぶきではなく、濃い霧のようにあたりを漂う。あまりの迫力に、龍神の降下もかくやと思い、しばらく無言で見入ってしまう。強い日がさして、虹も現れる。

 驚いた。今まで見た滝の中で一番すごいかもしれない。

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 お昼は昇仙峡ほうとう会館(笑)で、「おざら」を食べる。おざらと言うのはほうとうの夏ヴァージョンのようなもので、冷やしたほうとうに、おあげや野菜などの具の入った甘辛く、熱いつゆをつけて食べる、一種のつけ麺だ。ここのほうとうも手打ち。粉の味は昨夜の「ちよだ」の麺のほうがよかったけれど、ここのもなかなか。いっしょにほうとう饅頭も付いてきた。甘みのある皮の中身は、味をつけた青菜で、あんこではない。下りはバスに乗り、甲府市街へ。

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 「奔流」

 

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2007年9月19日

風林火山(3) 恵林寺、そして甲府へ

072  20分ほど車に乗ってやってきたのは塩山、恵林寺(えりんじ)。武田家の菩提寺だ。これから旅をする人のために参考までに言っておくと、このあたりの交通はもちろん電車もあるけれど、駅から遠かったり本数が少なかったりするので、上手にタクシーを使った方がいいです。でないと移動にとても時間を取ってしまうことになります。レンタカーは、飲む人は絶対やめてね。と言ってもその辺を既に試飲済み、みたいな人が走っていそうで怖い(笑)。ここでO部さんとはお別れ。帰りは電車で甲府まで行くのだ。

 塩山(えんざん)は地名のとおり塩の名産地。古今和歌集にも「志ほの山」と歌われているのだそうで、実際「塩の山」という553メートルの低い山がある。でも帰りのタクシーの運転手さんの話では、一説によると、「志ほ」は「塩」ではなく、「四方」、つまり山に囲まれた地形のことを指しているとも。また、興味深い話として、「敵に塩を送る」という言葉があるけれど、実は上杉謙信は武田信玄に塩を「送った」のではなくて、武田方の塩の輸送を阻止することなく(塩攻めにすることなく)、黙認していたのだ、ということを聞いた。