『国宝鳥獣戯画と高山寺』
リニューアルされた、京都国立博物館・明治古都館へ、特別展覧会 修理完成記念 『国宝鳥獣戯画と高山寺』を見に行く。
このたび、130年ぶりの修理が成った高山寺の鳥獣人物戯画、修理後初にして、甲・乙・丙・丁そろっての公開は33年ぶりなのだという。
月曜日の台風による途中閉館と昨日の休館日の影響もあってか、午前11時の時点で既に館外30分待ち、さらに最後のⅣ室の、鳥獣人物戯画甲巻を見る前にも長い列があり、館外で待たなくても必ずここでは待たないといけないといった様子。
多数の人がこれを目当てに来館していることは間違いないだろうけれども、この他にもおもしろいものがたくさんあった。
いろいろ見ていて、学生時代に一般教養の授業で習った栂尾の茶のこととか、『摧邪輪』を著した明恵上人が法然上人の論敵であったことなどを思い出す。ふだんは思い出すこともなく、、また、思い出さなくても何の支障もないことでも、こういうときにふと記憶がよみがえって、今見ているものに対する知識を補ったり裏打ちしてくれることもあるから、教えてもらえることは何でもありがたく教えてもらっておくのがいいと思う。
その明恵上人の超有名な像、「樹上坐禅像」が出ていた。これは前期(~11月3日)のみの展示。
また、明恵上人は、19歳のときから約40年にわたって見た夢を逐一記録していた。その記録「夢記(ゆめのき)」も出ている。一部に絵もあるようで、かなりおもしろそうなもの。
修行の一環として??右耳を切り落としたこの明恵上人、かなり濃い人物には違いなさそうだ。
ほかにとても気に入ったのは、「転宝輪筒」。怨敵調伏のために用いられる法具らしく、筒の表面にさまざまな仏が描かれている。鎌倉時代に作られたものながら、展示の解説文によると、平安時代ののびやかな柔らかい画風を残しているのだとか。これ、ほしいな・・・(笑)。
また、「華厳宗祖師絵伝」にも描かれる、イケメンの僧、義湘さんと、高山寺の鎮守神、善妙神の話http://www.kyohaku.go.jp/jp/dictio/kaiga/43kegon.html などもたいへんおもしろく、古の華厳宗という宗派への興味をそそられるのであった。
さらには、第Ⅲ室「高山寺の典籍-写本・版本の収蔵-」にあった、「篆隷万象名義(てんれいばんしょうめいぎ)」と「玉篇」という二つの字典も興味深かった。
さて、最後の第Ⅳ室「鳥獣人物戯画-楽しさあふれる絵巻-」の部屋に至るわけだが、最初の甲巻を見るまでにかなりの行列がある。ここまでで盛り沢山のおもしろいものを見てかなり疲れている(笑)。
「なんとまあ、きれいになって・・・!」という印象。今回の大掛かりな修理で、新たに発見されたこともあったそうで、どのような発見があったのかがわかりやすく巻ごとにパネルで説明してあって、とてもよい展示となっていた。修理の方法も映像で流されており、こちらも興味深い。
人が多くていたしかたないとは思うのだが、歩きながらではなく(立ち止まらないで、と言われる)、ゆっくり絵をみたかったなあ、と、贅沢を言えば切りがないな(笑)。
展覧会が終わって、紅葉も終わって三尾の喧騒も治った頃、また高山寺を訪ねてみるのもいいかもしれない。
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