中右コレクション
今年初の美術展鑑賞は、美術館「えき」で開かれている、四大浮世絵師展-写楽・歌麿・北斎・広重〔中右コレクション〕。
そんなに広くもない空間にたくさんの作品、しかも有名な絵師の作品ばかりがぎっしり・・・というのは、さすがの見応えで、なんとも濃い、と言うか、ちょっとわたしはおなかいっぱいな感じも・・・(笑)。ともあれ、だれもが一度は見たことがあるような作品が一度に見られるので、浮世絵入門にはうってつけで、大変お得な展覧会だと思う。
写楽の役者絵をずらずらと見て、やっぱりおもしろいな、と思った。写実(特に西洋的な)というところからは遠いところにあると思うのだが、妙に役者の表情や面立ちなどにリアリティがある。時代とともに研究が進んでも、やはり写楽は正体不明の絵師であるようだ。いろいろな説があるようだが、写楽はいったい誰なのだろう?
有名なシリーズの中にあって、比較的知られていない絵にかなり魅かれる一枚がある、というのはわたしによくあるパターンで、今回もそのような絵が二枚ほど。
喜多川歌麿 教訓親の目鑑 俗ニ云 ばくれん
「教訓親の目鑑」は、全十図。シリーズ名の「親の目鑑」が示すように、まあ、女の子がこんなことやっちゃいけませんよ、みたいなふるまいを描いたシリーズ。でも「やっちゃいけません」ということが往々にしておもしろそうであるように、この絵もとても魅力的でかわいげがある。
これは、若い女の子がゆで蟹を片手に、ギヤマンのグラスでワインをぐびっと飲んでいるところ(笑)。「ばくれん(莫連)」=すれからし、あばずれ、なんてひどいタイトルをつけられているけれど、まくり上げた腕や、女の子の表情なんかちょっと生意気そうで、なんともかわいくありませんか(笑)?
蟹とワインか。いいなあ(笑)。解説には、「ばくれん」と伴天連(バテレン)をかけている・・・という解説がついていたような。絵の舞台は長崎かな。
葛飾北斎 百物語 志うねん
「百物語」のシリーズは全五図。お岩さんとか皿屋敷とか、おどろおどろしさ満点の絵ばかり。
この「志うねん」は静かに怖い。位牌とお供物かな(?)を取り巻く蛇。おもしろいのは位牌の一番上に書かれた梵字のようなもので、よく見るとこれは梵字ではなくて、変な顔のようなものが書いてあるよ。
他の絵はわりとストレートにおどろおどろしく、こってりと怖さを出しているような感じがするけれど、この絵は画面全体がすっきりとして美しく、そういうところも良い。
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Commentaires
百物語、ごっつ惹かれとります(笑
実にデザイン的ですね。
美しい!!
Rédigé par: 丸義 | samedi 17 janvier 2009 22:48
丸義さん,
いいでしょう、これ!!
他の「百物語」の作品とは、一線を隔していると思うのですよ。シリーズの中では最もわたし好みです。
北斎はやっぱりおもしろいですね。
Rédigé par: はたこ | samedi 17 janvier 2009 23:26
浮世絵ってこういうのもあったんですね。勉強になりましたφ(.. )メモメモ
しかもワインに茹で蟹だなんて可笑しいですね。
Rédigé par: angel | samedi 17 janvier 2009 23:30
angelさん,
ちょっとびっくりでしょう?ワインに蟹(笑)。グラスの色を見れば、ちゃんと白ワインだし(笑)。
浮世絵ってけっこうおもしろいのが多いですよ。やっぱり庶民の娯楽だったからかも。
Rédigé par: はたこ | samedi 17 janvier 2009 23:36