『仏果を得ず』
何年か前、国立文楽劇場でパンフレットを買ったときに、三浦しをんが文章を寄せているのに気がついて、あれ?と思った。三浦しをんと文楽、意外なつながりだなあと思っていたのだが、彼女の傾倒ぶりはかなりのものだったらしく、その後、『あやつられ文楽鑑賞』を出版、続いてこの『仏果を得ず』という、おそらく初めての(?)「義太夫小説」(笑)を書き上げた。義太夫にたずさわる国立文楽劇場の技芸員が主人公のこの小説には、ほんとに、義太夫と文楽に対する彼女の思いがあふれていて、読後感が非常によい。
歌舞伎は、まだ子どもと言ってもよい自分からちょくちょく見ていたのだが、関西に生まれ育ちながら(とは言っても、大阪の子は何かにつけて文楽に小学生くらいから親しむ(親しまされる?)ものらしいが、京都の子はそうでもない)、文楽を初めて見たのは、恥ずかしながら、30も越えてからだった。
生きているかのような人形の動きに魅せられ、義太夫の語りに手に汗握り、時には涙し、三味線の音に心震える・・・。命を持たない人形に命が吹き込まれ、無表情な顔にいろいろな表情が見える・・・。
そんな経験をわたしは実際にしたので、三浦しをんが『仏果を得ず』の中で書いていることは、本当のことで、大げさでもなんでもないような気がする。
近松門左衛門の作品はいいなあ、と思う。でもたぶん、字では読めないと思う。しかし歌舞伎では役者が演じ、義太夫では太夫が語って聞かせてくれるから、大昔の大坂の町に生きた人々にシンクロして、心地よく、時には切なく、苦しく、物語世界に入り込むことができる。いつも、語りの力は偉大だなあと思う。「聞く」力は、人生の早いうちから最後まで人が持ち続けることができる力。
さっそく義太夫が聞きたくなってる(笑)。
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Commentaires
はたこさん、こんばんは。
何とタイムリーな、と言うのが、今日某となりの施設の2Fで(笑)、「みやこで義太夫を楽しむ」というイベントのチラシをもらってきたのです。春秋座であるそうで、チケットは既に4月から発売中とか、ご存知でした?(私は出勤日で行けそうにありませんが)
7月日本橋の文楽も面白そうです。(こちらは行くつもり)
Rédigé par: T | le mercredi 28 mai 2008 à 23:23
Tさん,
そのイベントは、もしかするとシリーズかもしれません。わたしも以前、ちらしをもらったことがあります。
7月、お夏清十郎。門左衛門ではありませんか~。見たいです!
Rédigé par: はたこ | le mercredi 28 mai 2008 à 23:48