節分
「月も朧に白魚の、篝もかすむ春の空。冷たい風もほろ酔ひに、心持ちよくうかうかと、浮かれ烏のただ一羽。塒(ねぐら)へ帰る川端で、棹の滴(しずく)か濡れ手で泡。思ひがけなく手に入る百両。
ほんに今夜は節分(としこし)か。西の海より川の中、落ちた夜鷹は厄落とし。豆沢山に一文の、銭と違つた金包み。こいつァ春から、縁起がいいわへ。」~三人吉三廓初買 by河竹黙阿弥
声に出して読んでこそ真価がわかる河竹黙阿弥。気持ちいい~(笑)。いいゼ、黙阿弥!
早いもので、もう節分。梅はまだかと、嫌いな冬にも先が見えてきてちょっとほっとする時分である。
節分に壬生さん(壬生寺)に、古い御札類と豆と炮烙(ほうらく)を納めに行くのはわが家のマストな行事。朝、神さんと仏さんに豆を上げて、壬生さんに持っていく豆を数える。今年の満年齢+1個。祖母の分98個を数えたら、ちょうど豆がなくなった。
昼食後、散歩がてら歩いて行く。日曜日ともあって、かなりの人出。最近は観光客の姿もちらほら。まず古い御札を納めてから炮烙を書く。いつも上手に筆を使えなくて、小学生の習字みたいになってしまう。書けたら奉納。お線香を上げて、煙を体に擦り付ける。そしてお参り。お賽銭と持ってきた豆をお賽銭箱に入れる。真言、「オンカカカ ビサンマエイ ソワカ」と書いてあるので唱える。べつに「南無地蔵菩薩」でもいいと思う。
これが炮烙。裏に、○○家 家内安全(などの願い事) 家族構成(性別と年齢)、たとえば、「女 98歳」とかを炮烙の店に張ってある便利な表を見て墨で記入する。これが壬生狂言の「炮烙割り」で派手に割られる。
水掛け地蔵、弁財天など、一通りお参りしておしまい。いつものことながら、マストな行事を終えると、大げさだけれど、肩の荷を降ろした気分になるものだ。やれやれと思ってまた歩いて帰る。
盧山寺の鬼の法楽を見たことがなかったので、今年は行ってみようかと思っていたが、天候が悪いので断念。壬生さんは、マストなので雨が降ろうが槍が降ろうが行かなくてはならないが、蘆山寺や吉田は言わばオプションというかむしろ観光であるので行かなくても特に問題はなし。もちろん、こちらがマストなおうちもたくさんあることは言うまでもない。
家に着いて玄関をあけたその瞬間、あああ~~~!!!新しい御札を受けてくるのを忘れたあ~~!そのまま今度は自転車で壬生さんへ逆戻り。止んでいた雨もまたぽつぽつ降り出して、ああ、なんてこったい。マストな行事はかくも厳しい。
御札を無事受けてきました。最近どうもぼけているような気がするので心配だ。
夕方は、横浜からのお客様に会う。証券ビルのイノダコーヒにて。わたしのブログを読んでいてくださるそうで、お話がはずんで楽しかった。なんとその方も、わたしと同じ時間帯に、壬生さんに行っていたということがわかっておもしろかった。厚かましくもおみやげまでいただいてしまった。ありがとうございました。引き続き楽しい京都滞在を・・・。
夕食はひさご寿司の巻き寿司。かんぴょう、厚焼き、しいたけ、ほぐした焼き穴子、おこうこ。シンプルな具の巻き寿司はおいしいと思う。今年の恵方、南南東に向かって丸かぶり。子どもの頃はこんなことしなかったけど、こんなふうに、忘れられていたらしい大昔の習慣が復活することもあるのだからおもしろいものだ。
そしてお約束のいわし。子どもの頃はこのいわしを食べるのが苦行だったが、食べないと怒られるのでいやいや食べた。もともと好きではない上に、この骨の多さが大嫌いなので、ぜんぜんうれしくない。でも食べねばならない。マストな行事は、かくも厳しい。
食後は焙じ茶といっしょに、年の数だけ豆を食べる。わたしのお気に入りは、柳桜園の「光悦」もしくはその上の。雁がねの焙じ茶でとても香りがよく、ごはんの後に飲むとほっこりする。
豆まきは、もうしなくなった。だんだんと行事も簡略化されてしまって寂しいような気がするけれど。余談だが、我が後輩の出身地秋田県では、節分の豆は炒り大豆ではなく殻付きの落花生。狭い日本だけど習慣もさまざまだ。
明日は立春。早く暖かくならないかなあ・・・。


Commentaires
はたこさん、こんばんは。
今年も節分と週末が重なったので、京都で過ごせました。
吉田神社の「追儺式」、須賀神社の「懸想文」
などを楽しみました。
豆まきは寺町の妙見宮。お餅もいただきました。
恵方巻は、桝形商店街の「満寿形屋」で。
有名な鯖寿司に負けず美味しかったです。
今日から暦の上では春。寒さも緩むかしら?
Rédigé par: nao-mi | le lundi 04 février 2008 à 22:05
> 夕方は、横浜からのお客様に会う。
あ!無事に会えたんだね。
考えてみれば、僕もこのブログのお陰で、はたこさんと知りあいになれたわけだし(笑)
かなり役立ってるねえ。
Rédigé par: PICARLE | le lundi 04 février 2008 à 22:08
早いもので節分になりましたね。私事ですが1月26日に難産で30時間も掛かり死ぬ思いをしましたが、母は強し!でがんばって無事元気な男の子を出産しました。退院後間もなかったので節分をする事ができませんでしたが、来年は家族で豆まきをしたいと思います^-^
Rédigé par: まりまり | le lundi 04 février 2008 à 22:15
超午前様の直後の行動とは思えないタフさ、いつもながら本当に頭が下がります。
私は家から一歩も出ず。
実はヤツが一本だけ巻き寿司を買ってきたのですが、同じひさご寿司。一緒がなんだかうれしい♪
今日の午後は気のせいか少しだけあったかかったですね。
Rédigé par: かもめ | le lundi 04 février 2008 à 22:33
こんばんは。
おかげさまで、京都の節分を堪能しました。
私も壬生さんの後に、廬山寺も行ってみようと思っていたのですよ!
今日頂いた壬生さんのお汁粉とさゝ木のお汁粉(デザート♪)で、京都はあまじょっぱい味なのと、実感しました。
午後の日差しは、やわらかでしたね。
Rédigé par: assam | le lundi 04 février 2008 à 23:09
nao-miさん,
nao-miさんも京都で節分をすごされたのですね。どちらかというと地元密着型の壬生さんでも、観光の方がたくさんおられました。土日でしたものね。
吉田は賑やかだし、懸想文売りも味があるし、たっぷり楽しまれたようで何よりでした。
Rédigé par: はたこ | le mardi 05 février 2008 à 00:49
PICARLEさん,
はい、無事会えました。
ブログのご縁はありがたいものです。
たしかに、こんなブログでも役に立っております(笑)!
Rédigé par: はたこ | le mardi 05 février 2008 à 00:52
まりまりさん,
元気な男の子をご出産されたとのこと、心よりお祝い申し上げます。30時間、大変でしたね。よく頑張られました。喜びもひとしおですね。
赤ちゃんのお世話に慣れるまではもう少し、といった時期でしょうか。いろいろとお話、聞かせてくださいね。小さい子はただ愛おしいです。
Rédigé par: はたこ | le mardi 05 février 2008 à 01:02
かもめさん,
マストな行事はかくも厳しいのでございますよ。とは言え、午前中は家でゆっくりしておりましたので(笑)。
ひさごのお寿司、おいしいですよね。かもめさんとこは手作りのもあるしうらやましいなあ・・。巻き寿司、鯖寿司、いなり寿司は昔、祖母といっしょに作りました。懐かしいです。
Rédigé par: はたこ | le mardi 05 février 2008 à 01:05
assamさん,
さっそくのコメントをありがとうございます。京都の節分とおいしいものをたっぷり楽しまれたようで何よりでした。
廬山寺、わたしも来年こそはずぼらしないで行かなければ・・・。
やはり京都のぜんざいは塩強めでしたか。
わたしはよくわからないのですが、これを読んでくださっている和の甘味好きな皆さん、どうですか?京都のぜんざいは塩強め??
Rédigé par: はたこ | le mardi 05 février 2008 à 01:11
「おん厄払いましょう。厄落とし。」の合の手を入れたくなって来る名調子ですね。
ほんと、黙阿弥いいですね。
話は変わりますが、
壬生さん、今年は人が多く、狂言も大賑わいでした。
節分の日の寒参り、これを越えなければ京都の春はきませんね。
Rédigé par: 好日 | le mardi 05 février 2008 à 21:58
好日さん,
黙阿弥、あの七五調がたまりませんよねぇ・・。歌舞伎は門左衛門の世話物も大好きなのですが、黙阿弥のは耳に気持ちいいです。
土日が重なって、節分を京都で過ごした方も多かったみたいです。わたしが行ったときにも狂言待ちは長蛇の列でした。
Rédigé par: はたこ | le mercredi 06 février 2008 à 00:09
TBさせてもらいました。どうぞ宜しく。
Rédigé par: 好日 | le mercredi 06 février 2008 à 00:50
好日さん,
ありがとうございます。
光栄です(^^)。
Rédigé par: はたこ | le mercredi 06 février 2008 à 21:33