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2008年1月30日

狩りに行く

 先日会った、マダムUがおっしゃるには、「そろそろ狩りの季節ですなあ。」「そうですなあ・・・。」ジビエとかに関係あるお話ではなく、これはすなわちチョコレート狩り。004_2

本日より、伊勢丹でサロン・デュ・ショコラが開幕。京都での開催も今年で3回目だが、未だ試行錯誤の段階なのか、内容は年によってだいぶ変わっている。昨年は事前予約を受け付けていたのに今年はなし、昨年もらえたノベルティのTシャツも今年はなし。去年から始まったセミナーは、今年はデモンストレーションを交えてさらに充実しているようだ。

 それにしても年々白熱する一方のこのイベント、初日の朝からえらいことになっていた。昨年はフランソワ・プラリュのセミナーに行ったので、今年も何か一つ、と思ってはいた。開店前9時半から、1日4回あるセミナーすべての整理券が配られるのは去年と同じ。配布場所に着いたのは9時40分。既にすべてのセミナーの整理券はなくなっていた。これには驚いた。昨年は余裕だったのに・・・。セバスチャン・ブイエのセミナーに行こうと思っていたのだが、後で立ち見でちょっと見たら、モニターまで使って、クーヴェルチュールがけのデモンストレーションをやっていた。

 会場には、大階段横の10階入り口が近い、と係の人に案内されたので昇って行ってみると、既に列は11階まで達している。この人々の狙いは、ベルナションであろうと見当がついた。

 開場。やはり一番人気はベルナションのようだ。ちなみにベルナションとセレクションボックスの列は同じになっているので注意。わたしは優先順位1位の、ファブリス・ジロットの列に並ぶ。順番は3人目だったものの、なんと係員がいない!やっと来たと思ったら、一人なので極めて遅いのだ。後ろの人も前の人も、こうしているうちに他のが買えなくなるのでは、といらいらしていた。無事ゲット。

 ベルナション&セレクションボックスのブースは既に長蛇の列。なんとなんと待つこと1時間半。まんがが余裕で一冊読めてしまった。まだまだ列は伸びている。

 長くリヨンを決して出ることのなかった名店。パリでも手に入らなかった。はるか昔、リヨンから2キロほど日本に持ち帰って食べて以来長く食べていなかったものを、昨年ようやく伊勢丹が誘致に成功したらしく、おかげで久しぶりに食べることができた。しかしそれも年に一回、サロン・デュ・ショコラにおいてのみだ。チョコレート好きなら手に入れたくなるのはよくわかる。無事ゲット。

 今年は欲しいものを絞り込んでいたので、買ったものはそんなに多くはない。一つ、品切れ・お取り置きはできません、と宣言されたものがあったのだが、それも機転を利かせて難なくゲット。これで予定のものはすべて我が手中に・・・(笑)。

 トモちゃんのところに、狩りの獲物の分配に行く。001_2

 一つは、ベルナションのタブレットから、Jour et nuit(ジュール・エ・ニュイ)を。パンフレットにはなぜかジュイ・エ・ニュイと書いてあるのだけれど、これはミスプリ?

 Jour et nuit、つまり「昼と夜」。なぜかと言うと、このタブレットはブラックチョコレートと茶色いミルクチョコレートが二層になっているから。ちょっと珍しい。それになかなかよい名前だと思う。苦い部分と甘い部分が交互に口の中で交錯しておいしい。ここのタブレットとエヴァンのタブレットは好き。005_2 006

 もう一つは、プレスタ(1902年創業の王室御用達の店らしい)のバナフィー・トリュフ。イギリスのは、昨年シャボネル・エ・ウォーカーのピンクシャンパントリュフがおいしかったので、イギリスでも大丈夫(←激しい偏見)と思えたので、今年はこっちを買ってみた。

 かわいい箱!箱には、「BANOFFE TRUFFLES    BANANAS AND TOFFEE WITH A WHISPER OF COFFEE」と書いてある。バナナとトフィーのトリュフというのにハートをくすぐられたけれど、ネーミングのセンスはどうかと思う。バナナとトフィーでバノフィーってどうよ?トマトとじゃがいもの交配、ポマトのようだ。

 ホワイトチョコレートベースのシェルをかりっとかじると、中にはとろ~っとした柔らかいトフィーがたっぷり詰まっている。チョコレートはバナナの香り。期待にたがわぬ激甘でおいしいな。イギリス的なチョコレートの味って、なんとなくあるような気がする・・・。

 他の獲物については気が向いたらぼちぼちアップしますので、気が向いたら読んでくださいませ。 

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2008年1月29日

ソーダ水

002_2 ふと思いついて、昨日作ったりんごのコンポートの煮汁をソーダで割って、ソーダ水にしてみた。ガーネットのような透明な色がとてもきれい。赤ワインとカシス、スパイス、それにもちろんりんごの風味も加わったシロップだから、とてもおいしいソーダ水になった。

 ソーダ水日和とは言えない日だったけれど、暖かい部屋にいるときの一種の贅沢かな。001

 雨が止んだ隙をついて、ワイングロッサリーに注文していたワインを取りに行く。いつものようにチーズのショーケースを見ると、見たことのないこんなチーズがあった。青かびのサンドイッチ??

 モルビエ レ・クリュというチーズ。興味をひかれて買ってみた。後で調べたら、ジュラ地方のチーズで、黒い筋は青かびではなくて煤なんだって。もっちりとした食感の、食べやすいチーズだった。

 12月に受けた、京都検定1級の試験結果が返って来た。受験者数1125名、合格者数91名で、合格率は8.1%。合格ラインまで14点足らなかった。自己採点でわかってはいたことだけれど、正式な結果が来るとやっぱりがっかりするもの・・・。準備はしたつもりなので、「勉強しなかったしね~」という逃げ道はないような気がする。まだまだ、ということなのだろう。003_2

 別にやけ食いじゃないけど、夕ごはんには久しぶりに唐揚げを作って、がっつりと食べる。わたしの唐揚げは、表面は、さくっではなくて、かりっ、がりっとした食感で味も濃い目なのでけっこうがっつりいけてしまう。

 月末までにマイナス3キロの希望は潰えた・・・。

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2008年1月28日

カルディナル

 仕事が終わって、さあ帰ろうと思ったら外は小雨が降っていた。自転車は置いて帰りたくないし、スーパーにも寄らなければならない。えい、何とかなるだろ、小雨だし!と思って自転車で帰る。しかし道のりは長い。途中で本降りになってきた。凍えそうになりながら自転車を走らす。何もかも、愛を追い越してく、土砂降りの一車線の人生~、だ。スーパーに着いた時点で既にふらふら。ほうほうの体で帰宅。みんな知ってることだけど、生きていくのは辛いもんだね。今日は恨みつらみを言いたい気分なのさ。

 まあそれでも夕食を済ませて体も温まり、人心地ついた。001

 ちょっと変わったルセットを見つけたので、家にまだたくさんあるりんごを消費すべく、りんごのコンポートを作った。赤ワインとクレーム・ド・カシスを使って煮る、「りんごのコンポート、カルディナル風味」といったところかな。白ワインとカシスのリキュールのカクテルはキール、シャンパーニュにならキール・ロワイヤル、赤ワインならカルディナル。カルディナルというのは「枢機卿」という意味で、赤い色が枢機卿の着ている僧衣の色に似ているから、そういう名前になったらしい。ちょっとうんちく。

 りんごを八つに切って芯を取り、黙々と皮をむいていたら、ふさがっていた気がなぜかだんだん晴れてきた。単純な性格でよかった。

 赤ワインとクレーム・ド・カシスの色で、りんごが美しく染まる。煮上がって荒熱を取って汁ごと冷やす。わずかに煮汁に濃度が出ていい感じ。柔らかく煮えて、中まで味が染み込んだりんご、ワインとカシスとスパイスの香り・・・。お~、これはおいしい!我ながら納得のいく味・・・と、自画自賛。単純な性格でほんとによかった。

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2008年1月27日

新年会

 ゆうべ入れなかったので、5時半に起きてお風呂に入って仕事に行く。2時間半ほどしか寝ていないので、今日はさぞかし眠くてしんどいだろうなあと覚悟していたのだが、どういうわけかとても元気。お昼ごはんの後でもまったく眠くもなくて、むしろいつもの方が眠いくらい。不思議を通り越して不気味だ。

 夜は、エッセンにて、職場の新年会。夜行くのは初めての店だけれど、どんな感じかな?日曜日だからか、6時過ぎに到着したときにはけっこう広い店内は既に満席で、賑わっている。人気があるようだ。団体さんもわたしたちのほかに二組いた。

 飲み物は、カヴァ、アルザスのリースリング、ブルゴーニュのピノ・ノワールを4人につき3本。カヴァで乾杯。掛け声は、3月31日までがんばりましょう!

 小さな前菜  生麩の田楽 蕪のムース 鮑と海老のジュレがけ 生湯葉のうに乗せ 鴨のロースト

 和食みたいな前菜が杯ほどの小さな器に盛られている。

 寒ぶりのカルパッチョ

 上には刻んだ大葉などの香味野菜。スパイシーな風味をつけたオリーブオイルのソースがおいしかった。

 ほたて貝柱の小さなグラタン

 熱々の前菜はほっとするもの。さらっとしたソースは貝の味がよく出ていておいしかった。

 シーフドサラダ サーモン、いかなど

 生ハムと焼き海老のサラダ

 白身魚のムース コンソメあん 蟹足 中にはうなぎ

 芽キャベツのポタージュ

 鯛のポアレ 手長海老 あさり あおさのソース

 牛フィレ肉のステーキ 野菜の串揚げ(子芋 ズッキーニ エリンギなど)

 バゲット バター

 クレームブリュレ ヴァニラアイスクリーム・赤ワインのジュレ・マチェドニアCa3af97i_2

 キャラメルのムース チョコレートとアーモンドのケーキ クリームチーズのタルト 洋梨のコンポート フランボワーズ

 コーヒー

 これだけいただいて、税込み5040円。味、ヴォリュームを考えれば、大変リーズナブルな価格。繁盛するのがよくわかる。

 食べたら動く、ということで、徒歩にて帰宅。 夜になってもなぜか元気(笑)。

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2008年1月26日

ROCKでない奴ァロクデナシ

001_2  久々の怒髪天、関西ライブ。心斎橋クワトロにて。

 大阪に行く前に、ネイルサロンへ行く。いつも行く店がいっぱいで断られたので違う店へ。手入れをしてもらっている間に、かわいらしいネイリストが、これからどちらかへ行かれるんですか?と聞くので、心斎橋でライブに行くと答えると、さらに「誰のですか?」と聞いて来る。

 「たぶん知らないと思うけど、怒髪天の・・」「知ってます」「え~?知ったはるんですか??かなりキワモノ、色モノ入ってますよね~(笑)」「前にZEPPで氣志團 といっしょに出たはって・・・。氣志團好きなんですよ~。」

 怒髪天もかなりだが、氣志團も相当だ(笑)。人は見かけによらぬもの・・・。お習字でも習っていそうな、氣志團好きとは思えない人(笑)。

「あ~、あたしそれにも行った~。」「ほかにね、『い~ねっ』ってやる人が出てて・・・」おっと、手振り付きで『い~ねっ』をやった!

 「クレイジーケンバンド、ケンさんやね?!」・・・などと会話。このサロン、また行ってもい~ねっと思ったね。

 怒髪天は、ライブ王ひいきのバンドで、はっきり言わせてもらえば、「かっこいい」からは遠い・・・。と言ってもこれは「かっこいい」の定義によるな。もっと言葉を練れば、そう、「スタイリッシュ」の対極、といったところ。でもその泥臭さがなかなか気に入って、何度もライブに連れて行ってもらっている。それにしても、いつも男性客の多いライブだ。下手に前に行くと埋もれてしまって見えなくなるので、少し後ろでワイルドターキーのソーダ割りなんぞを飲みながら待つ。

 久しぶりに見る増子さん、やっぱり小さいな~(笑)。でも変わらず熱い男。王子、上原子さん、だいぶ太ったような・・・。でもやっぱりかっこいいな。珍しくよくしゃべっていた。シミさんの笑顔は、彼自身がライブを楽しんでいる感じが伝わってくるような、暖かくていい感じの笑顔だ。サカさんの天然ぶりもおもしろい。なかなかよいバランスの4人だ。

 トークは期待を裏切らぬおもしろさ。増子さんの「少林寺木人拳みたいにね~・・」というトークに笑いのツボを突かれる。「木人拳」。ジェッキー・チェンの初期の作品だ。コミカルな要素はなく、わたしの好きなブルース・リーばりのシリアスさが胸キュンな映画。

 こんなに笑って、思い切り歌える熱いライブもないんじゃないかな。今回は新曲中心(その中の一曲の歌詞に、”近所のシド・ビシャス 酒屋でバイト中”というのがあってちょっと笑えた)だったので、やらなかったけど、彼らの曲にこんな歌詞のがある。

 ~今日の事すら出来ない男に どうして明日が見えてこようか

 自分の事も出来ない俺に オマエの涙を拭えるハズあるもんか~

 いわゆる「だめんず」の忸怩たる思いと言うか、そんなのが伝わってくる。こういう歌が好き、というのは、わたしがだめんずウォーカーの資質があるのか。・・・と言うよりも、けっこう自分のこととして聞いてしまうんだよね~。できる人にはわかるまいよ。

 ライブの後は、またまた長堀橋のビストロViscoへ。今日は残念ながらAさんはお休み。ミナミのライブの後はここが定番になりつつあるか?

 今日気がついたけど、お隣はDAIGAKUさんなのだった。しかしこちらも満席で繁盛何より。

 ワインは、トゥーレーヌのソーヴィニヨン・ブラン、ニームのグルナッシュ&シラー、南アフリカのカベルネ・ソーヴィニヨン、の3杯。ライブ王が飲んでいたドイツのメルローはちょっと変わった味がしておもしろかった。

 仔羊のテリーヌ、ツブ貝とブロッコリーのガーリックソテー、鱈の白子のムニエル、野菜のココット焼き(ストウヴのお鍋)、仔羊のカツレツ、茄子とトマトのスパゲッティをゆっくりといただく。

 ここのグラスワインは、ボトル1本の4杯取りなので、かなり飲んだ。京都に着くと雪が降っていた。帰宅は0時をとうに回ってから。 

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2008年1月25日

白ロール

 島原口の樋口金松堂は、昭和のかほりのする昔ながらの街のパン&ケーキ屋さん。実際わたしが物心ついたときからある。毎日前を通ってはいるのだけれど、実はあんまり寄ったことはない。日々のおやつのケーキを買う街のケーキ屋さんは、ほかにひいきの店があるから。でも今日はなぜかふと寄りたくなって、パンとケーキを買ってみた。

 080125_170201 それで今日のおやつは、樋口金松堂の白ロール、525円。厚めなら4切れ、普通サイズなら5切れは取れて、一切れ当たり105円は安い。あんまり期待もせずに自然体(笑)で食べたからか、これがなかなかのヒットだった。

 白っぽい生地に、生クリームを巻いただけの極めてシンプルな形。お味も極めてシンプル、香りづけもされていないし、お酒も使っていない。生地とクリームのみで勝負?生地はシロップを打ったわけではなさそうだが、しっとりしており、よく水分を含んだ感じ。生クリームの水分かな。

 冷蔵庫から出してすぐのを食べると、水分を含んだ生地がひんやりしていい感じ。取り立てて主張のある味ではない(それはロールケーキというカテゴリーの特徴でもあるが)が、それゆえにするするとおなかに収まっていく。

 危険!!あれあれ~??と、どれくらい食べちゃったかは秘密です(笑)。

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2008年1月24日

いにしへのこひのうた(3)

 日曜日に友だちといっしょにごはんを食べていて、香水の話題が出た。きっかけは、新たに入店してわたしたちのテーブルのそばを通った女性の香水がなかなか厳しかったこと。わたしも「香り」は好きなので、自分もつけるけれど、確かに食事の場や、密閉された乗り物の中での度を越した香りというのは辛いものがあるので、少なくとも、自分が「臭く」ないようには注意しておく。でないと自分の香水で気分が悪くなっちゃう(笑)。

 友だちは鼻がとても敏感で、子どもの頃はマンションの5階にある自宅の、今日の晩御飯は何かを下から言い当てることができたのだそう。わたしも鼻は敏感で、玄関を開ける前から晩御飯が何かがわかったけれど、彼女には及ばない。nez(ネ・鼻)と呼ばれる調香師か、例えは悪いが、パトリック・ジュースキントの小説の主人公並みのすばらしい鼻の持ち主だ。

 別の一人は、雑踏の中で、前に好きだった人と同じ香りを鼻が拾って、思わず辺りを見回したことがあると言う。これはわたしも経験があることで、音や色彩と同じくらい匂いもあふれかえっているはずの人混みの中で、鼻はなぜか一つの匂いを拾い上げ、神経系からのフィードバックであるかのような素早さで反応し、その主を探す。ふと我に帰って、これは面妖なこと・・と歎息する。時には甘やかな気持ちに満たされる。匂いの記憶は、易々と意識の底からわきあがってくるものらしい。古の人も、そんな経験を歌に詠んだ。

   さつき待つ 花橘の 香をかげば むかしの人の 袖の香ぞする

 さつきまつ はなたちばなの かおかげば むかしのひとの そでのかぞする。古今和歌集の巻第三、恋歌ではなくて、夏歌に収録されている、よみ人しらずの歌。

 五月を待って咲く橘の花の香りをかぐと、昔なじんだ人の袖の香りがする・・・という意。もちろん「昔の人」というのは、文字通りの意味ではなくて、昔の恋人のこと。今風に言うなら、元カレ(笑)?この時代の人々は、着物に香をたきしめており、それぞれ自分の香りというものを持っていた。橘の花の香り、と言っても、正確にはわたしにはわからなくて、ネロリ(オレンジの花)とかそんな香りを想像してしまうけれども、ともかくこの歌の読み手の想う人は、柑橘の花のような香を愛用していた。

 たぶん、もう何年も忘れていたことだったのかもしれない。今は別の香りをまとった、新しい恋人がいるのかもしれない。でもふとした拍子にかいだ橘の花の香りに、あの頃のことが親しく想い起こされた・・・。この人は数分の後には「今」に帰っていくのだろうけれど、そんな一瞬を大切なものと思って、切り取り、あるいはすくい取って、こうして歌に書き留めたのだ。

 初めてこの歌を知ったのは、高校のときの古文の授業だった。それ以来、折に触れて思い出し、味わう、好きな歌の一つだ。

 五月つながりで、もう一首。同じく、古今和歌集巻十一、恋歌の一に収められている、よみ人しらず、題しらず、の歌。

 時鳥 鳴くや五月の 菖蒲草 あやめも知らぬ 恋もするかな

 ほととぎす なくやさつきの あやめぐさ あやめもしらぬ こいもするかな。

 「あやめ」というのは「文目」で、ものの道理、筋道のこと。恋というのはいつも不条理なもので・・・。上の句は「あやめ」にかける言葉遊びのようなものだけれども、うまいなあ・・・。この詠み手は、あるとき、「あやめも知らぬ」恋をしている自分にふと気がついたのだろうか。あるいは、「あやめも知らぬ」恋をしている自分をちょっと楽しんでいるのかもしれない。いずれにせよ、自分を見るもう一つの目、つまり客観性のようなものを感じさせる歌。

 自分のことを考えるに、常に自分を見つめるもう一人の自分がいることを感じることはよくあること。以前にちょっと書いた、「いつ見きとてか恋しかるらん」「恋ぞ積もりて淵となりぬる」みたいに、いつの間にこんなことに・・?とか、なんでこんなことになっちゃってるんだろう??と我に帰る瞬間はどんな場合にも付き物で、考えなしのくせにある意味醒めている。というよりも、あるときはっと気がついて、困ったことになったなあ・・・と途方に暮れたり。

 「あやめも知らぬ恋」。言葉の響きが美しい。

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2008年1月23日

苺ずきん

003 朝ごはん用にマフィンを焼いたら、ちょっと遊びたくなって、クリーム絞って苺をのせたらなんだか楽しかった。

 せっかくなので、かごにいれておばあちゃんのところにもっていこう。あかいぼうしかぶって。みちくさくって、おはなももって。

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2008年1月22日

鶏肝のパスタ

 ちょっとめんどうだな、と思うときも多い休日の昼食だけれども、何か、今日はこれを作ろう!というものがある日にはそれが愉しみとなる。

 今日は、料理もお上手な数学の先生に作り方を教えていただいた、鶏肝のパスタを作ろう。003

 スライスした玉ねぎを弱火で飴色になるまで炒める。のんびり、じっくり、本でも読みながら。005

 完成直前の、フライパンの中のソースの様子。オリジナルの味も、作る課程の鍋の中の具合も知らないものだから、ルセットだけが頼りの手探り料理。こんな感じでいいのかなあ・・・?

 あればフォンドボーを入れるとなおよし、ということだったけれどあいにくなかったので、粉末の「化学調味料無添加コンソメ」を使ったけれど、やっぱりインチキ(笑)?

 指示通り、少し強めの味に仕上げる。味見をしてみると、なかなかのもの? 007_2

  完成!こんな感じの仕上がりでいいのかな。でもそれなりにおいしそうではある。赤ワインと共にいただきま~す。008

 使ったワインと、飲んだワインは、ブシャール・エ・フィス ブルゴーニュ パストゥグラン 2006。料理用にと、適当に買ったワインだけれど、ガメイらしい苺ジャムが香る、チャーミングなワインだった。

 パスタおいしい!!想像以上。自分が作ったとは思えないくらい。自分が作ったものですごくおいしい、なんて思えるものはそうないからねぇ・・。誰かにおいしいと言ってもらえても、自分としては納得がいってなかったり。ああ、でもこれは自分で納得した。ふだんパスタなど喜びもしない父もかなり喜んで食べている。至福の休日ランチ、ワイン付き。

 さすがです、先生!

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2008年1月20日

三人吉三八坂初食(さんにんきちさやさかのはつくい)

 今年もよろしく。おいしいものをいっしょに食べましょう!とかもめさん、さんこさん、打ち揃ってイル・ギオットーネにて新年会。外は氷雨。暖かいテーブルで、あれやこれやとメニューを品定め。すべてアラカルトにして、3人でシェアしましょう。001

 ワインはシチリアのシャルドネ。ヤレ 2006。おもしろい名前だなあ。色は濃く、白茶みたいな色。香りも蜂蜜っぽくて濃い。ほんのり樽の香りで、こっくりした味わい。頼んだお料理によく合いそう。002

 明石の蛸のグリル 蓮根餅 蓮根のサラダ 菊の茎

 蛸はほとんどレアで、ぷりっぷりで美味。蓮根のサラダは柚子風味。菊の茎は強い菊の香り。蓮根餅は熱々で、表面の香ばしさととろ~っとした中身が絶妙。ワインの濃さとよく合った。004

 トリッパと白いんげんの煮込み にんにく風味のブルスケッタ

 パッパラルドの時代からの定番のトリッパはほんとにおいしいと思う。来れば必ず注文してしまう。内臓の料理も、今日のワインなら白でも負けない。 005

 スパゲティ 白魚のフリットと菜の花のオイルソース

 白魚、菜の花、朧月。思いがけなく手に入る白魚・・・。

 一足早い春の訪れというところかな。006_2

 次のパスタはごくごくシンプルに。

 スパゲティ パルミジャーノとバターのソース

 上にかけた熟成させたパルミジャーノの風味が濃厚。さらにこれも熟成させた黒こしょうもかかっている。007

 ノドグロの炭火焼き 蒸しキャベツと白いんげん

 ノドグロは、以前かもめさんに初めて教えてもらった魚。旨みがあっておいしい。どんな魚か、図鑑を見ようと思っていたのだけれど、まだ見てない。008

 メインに合わせて赤をグラスで、と言うと、「せっかくなので」と、まったくタイプの違う二種類を持ってきて くださった。一つは、トスカーナのサンジョヴェーゼ。FILI DI SETA 1995(すみません。字、読めないので)。熟成されているからか、かな~り動物的な香り。というかこれは海の香りに近い。さんこさんが、「貝の匂いがする~」と言ったのが、言い得て妙で、ちょっと感動した。

 もう一つは、モンテプルチアーノ。Kurni 2004。こちらは見るからに濃い。ほとんど黒ワインと言ってもいいくらい。香りも甘く、濃厚。まろやか~な黒砂糖風味。メインのいのししにはこちらが合いそうだなと思ったら、そのとおりだった。010_3

 どど~ん!!と運ばれてきたいのししのロースト。「これ、一人で頼んだらどうなるんやろ~??」と言ってしまうほどのド迫力。骨付きの肉塊(笑)。付け合せは肉厚のしいたけ金柑子芋

 切り分けは華麗なる女料理人さんこさんと、熟練の食べ手、かもめさんにお任せで、わたしは仕事しない(笑)。

 中は十分に赤く、素晴らしい焼き加減、塩も絶妙。お肉は柔らかく、脂身がとてもおいしい。いのししの脂って、ほんとにさらっとしてる。ぼたん鍋で食べるのとはまた違った味わいがある。かなりワイルドな一皿だったけれど、最後には見事に骨だけになりましたとさ。

 グリッシーニ バゲット フォカッチャ くるみパン  オリーブオイル012

 デザートを食べない、ということはよっぽどのこと。もちろん食べます。

 オレンジ風味のクレマ・カタラーナ チョコレートのソルベット添え

 チョコレートのクレープ マスカルポーネのセミフレッド ピスタチオのソース ベリーのソース

 ここのカタラーナ、おいしいからね~(^^)。クレープの中にはチョコレートのクリームが包んであった。013

 コーヒー小菓子 トリュフ アーモンド入りメレンゲ ビスコッティ

 6時から10時半過ぎにわたる長丁場の食事。おいしいものを堪能するにはなかなかパワーのいることで・・・。

 かもめさん、さんこさん、ありがとうございました(^^)。

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2008年1月19日

Galette des Rois

001  身を切るように寒い。夕闇の中に明るく浮かぶ花屋の店先には春の暖かな色があふれているけれど。

 19時より、関西日仏学館の創立80周年記念のイベント、「ギャレット・デ・ロワ」に参加する。式典めいたものはなく、ディレクトゥールの挨拶はちゃんとあるものの、後は軽いカクテルパーティーといった趣。ワインとソフトドリンクとクッキーやポテトチップスなど。季節にちなんで、フェーヴが仕込まれたガレット・デ・ロワがふるまわれる。フェーヴが当たった人にはお約束の紙の王冠。ちょっと中のクレーム・ダマンドが少なかったけど、フイユタージュはさくさくで、おいしかった。どこのお店のなのだろう。聞いておけばよかったな。何人かの知り合いと歓談。共通の知り合いの若者に、風のように爽やかにカミングアウトされた話に驚く。彼、そうは見えないけどねぇ・・・。

 日仏学館も創立80周年なのか・・・。玄関を入ったところには、石板があって、ポール・クローデルほか、設立に尽力した人の名前が彫られている。昭和11年に建てられた建物は何年か前におそらくは老朽化のために改築しているけれど、石板は変わらずそこに置いてある。はるか昔の学生時代、初めてここに来たとき、石板に残されたポール・クローデルの名前を見て何となく感動を覚えたことを思い出す。今日また感慨を新たにしたので、近年岩波から、これまた新訳の出た『繻子の靴』などをがんばって読んでみるのもよいかも。無理かな。

 今も昔も、日仏学館の賑わいは変わっていないのだろう。近年、外国文学は新訳ブームといった様相を呈しており、わたしもそれに乗じて、ぼちぼちと読み直したり、読めなかった作品を今更ながら読んでみたり。そんなこともあって、翻訳ということについて考えることも多くなった。

 わたしたちが学生のときに親しんだ、もう、今や「先人」と言ってしまってもいい、桑原武夫、生島遼一、伊吹武彦、生田耕作・・・といった綺羅星のようなビッグネームの偉業を想う。日本におけるフランス文学の、未だ黎明期を過ぎぬ頃・・・。

 ちょっとだけ昔の夢を見た。

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2008年1月17日

15分の攻防

 ほんまにもう、寒い寒い!寒いと悲しくなる。さあ、出勤。急げ~!と外に出ると雪降ってるし。自転車乗れへんやんか~(叫)!!

 年明けから勤務時間が変更となり、早番のときの始業が5分、遅番のときの始業がなんと15分も早まった。朝の始業が早まったことについては労使の合意ができていないということで、暫定的にこれまでどおりでよいということになっているようだが、遅番の時間は動かしようがないらしい。朝の5分については何やら非常にもめているらしいが、わたしにはもう一つ実感がわかない。それよりも大打撃なのは、遅番のときの15分だ。遅番のときは、朝、出勤前に、自分のためというよりはむしろ家族のために夕食を準備していくので、ほんとに余裕がなくなるのだ。嗚呼。

 とは言っても夕食は作らねばならないのでがんばって作る。001

 昨日から赤ワインでマリネしておいた牛肉を使って、牛肉の赤ワイン煮込み。フランス料理はやっぱり煮込みやねぇ・・・。コック・オ・ヴァンの応用。作ってるうちに機嫌も治る。002_2

 できた♪

 出掛ける前から帰るのが楽しみ。・・・てかもう仕事行きたくないんですけど。

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2008年1月15日

Cake au kaki,Cake aux raisins

 休日。そう悪くなることも、逆にさしてよくなることもない感じだった風邪だが、じわじわと悪化してきているのか、午後からちょっと具合が悪くなった。潔く耳鼻科へ行くか市販の薬で治すか思案のしどころではある。こんな状態で祖母のところに行くのは、緩慢な殺人行為であるので断念。せっかくお菓子を焼いたのに。006_2

 先日、思いついて、鏡餅の串柿をブランデーに漬け込んでおいたのだが、それがお酒を吸って、こんなにぷっくりと柔らかくなった。そろそろいいかも、と思って、ケック・オ・カキを作ってみた。配合はごく単純に、200gずつの同分割、砂糖は少しずつ余っているものがあったので、粉糖、ブラウンシュガー、グラニュー糖が混ざった。

007_2  柿は賽の目に切ってみると、中まで柔らかくていい感じ。ブランデーの香りもよし。おいしくできるかな。008

 生地の半分はラム酒漬けのレーズンを入れて、ケック・オ・レザンにした。

 バターケーキの生地は、粉類を入れてから、木べらなり何なりに道具を替えて、生地に艶が出るまで、ある程度練ってやることが大切。009

 柿はそう特徴のある味や香りのするものではないけれど、果肉の食感と甘み、ブランデーの香りともなじんで、優しい風味の、なかなかおいしいお菓子に仕上がっていた。

 おやつに、コーヒーといっしょにもぎゅもぎゅ食べた。

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「永遠のベルサイユのばら展」

 同じく、日曜日のこと。会場で浮世絵に魅入っていると、わたしの名を呼ぶ人あり。けげんに思いつつ振り返るとそこにはなんとTさん!そう言えば、お休み重なってたんでしたねぇ!Tさんは、わたしと会うような気がしていたとおっしゃる。なるほど、わたしもTさんと同じく、浮世絵とベルばら展をはしごするつもりだったのだ。会期と自分の休日を考えると、確かに13日しか日程的には有り得ない(笑)。

 それで途中からご一緒することに。浮世絵を見終わったのは正午過ぎ。会場はかなりの人出となっていた。お昼をどこで食べるかはさすがTさん、リサーチ済み。何も考えてなかったわたしは大喜びで付いて行く。001

 博物館近くの、セントラルというお店。パンブッフェのある、ベーカリーレストランのようだ。メインがいろいろ選べて(とても選択肢が多い)、飲み物と、スープ、サラダ、デザートの内から一つと、パンブッフェかライスか選んで、1500円。

 もちろんパンと、スープ(クラムチャウダー)に、メインは牛肉の赤ワイン煮込みを選んで、コーヒーでしめ。牛肉はとろけるほど柔らかくて、ソースもおいしく、期待した以上の本格的な味だった。パンは、バゲットやオレンジピールや、クランベリーや,小さなパンがこまごまと並んでいた。

 006 食後は大丸に移動して、「永遠のベルサイユのばら展」を見る。

 入り口には、おおっ!と人目を引く派手な看板。

003  おまけになんと、記念撮影コーナーまで!床には薔薇の花びらが散らしてあるという周到さ(笑)。記念撮影をしたのは言うまでもない(笑)。

 展覧会は、ストーリーを追った、多数の原画で構成されており、それぞれに名場面ばかりなので、ついつい読み込んでしまう。

 「今日のベルサイユはたいへんな人出ですこと」・・・・・「ほ~っほっほほ・・」。勝ち誇るデュ・バリー夫人。登場人物がね、皆いいのだ。アンドレは素晴らしく侠気(おとこぎ)があるし、思い返せば、脇役の男たちもねぇ・・・。これはひょっとすると侠気(おとこぎ)の物語なのか?? 

 さすがに週刊マーガレット連載時は知らないが、どういうきっかけで、読んだのだろう。かなり、はまっていた。やはりこれは名作だなあ。これを書き上げたのは、池田理代子、20代半ばであったというから驚きである。

 ベルばら通のTさんによると、池田理代子は、連載が始まってから、美大生に絵を習ったのだそうで、そのせいで、連載当初の絵柄が途中で劇的に変わるのだとか。

 以前、まんがミュージアムの研修に行ったときに、まんがの「一次資料」は原画ではなく、最初に発表された雑誌であると聞いたが、それではこの「原画」というのはどういう位置付けになるのだろうか。「0次資料」・・・といったものがあるのかどうか。

 オスカルが女装(?)してフェルゼンと踊ったときに着ていた、オダリスク風のドレスが再現されており、それが一つの目玉となっていた。身長178センチサイズのドレスはほんとに美しい。こんなのが似合う人は日本人ではまずないだろうねぇ。

 十分に堪能(笑)。やはりこの展覧会は、一人ではなく、できれば同世代の同性の友人と見るのがベストであると思われる。ベルばらを知らない若い人たちは、年上の友人と見に行って、彼女の語りを聞くのもまた一興。

 そのあとはTさんといろいろお店を見て回ったりして、女子なデート。最後はミント神戸のバタクランにてお茶。歩き回ってのどがかわいたので、スイートなアイスマロンショコラを飲んだ。

 とても楽しかったです。ありがとう、ベルばら通Tさん!

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2008年1月14日

「初公開 ヴィクトリア アンド アルバート美術館所蔵 浮世絵名品展」 2

Va_8  葛飾北斎 「富嶽三十六景 山下白雨」

 富士山の山頂付近は快晴。中腹はにわか雨を降らす雲。麓には暗雲が立ち込め、不穏な稲妻。まったく異なったものを一つの画面にぎゅっと縮小。スケールを考えると、おかしなことは何もないのだが、マグリットの「光の帝国」が想起され、ふと考えてしまうのは不思議なことだ。

 冨嶽三十六景では、「神奈川沖波裏」などが出ていた。Va_9

 歌川国貞 「二見浦曙の図」

 昇ってくる朝日の曙光が意表をつく。これは一点透視?消失点が水平線から昇る太陽になっているのだ。

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 渓斎英泉 「江戸両国橋ヨリ立川ヲ見る図」

 画面を額縁のようにぐるっと取り巻く文字が不思議。キリル文字かと思ったら「元」という漢字もあり。出展されていたのはこの作品一つだったけれど、英泉のこのシリーズはすべてこのような「文字の額縁」がついているようだ。とても変わった印象。

 他には、魚屋北渓「鬼若丸の鯉退治」のこってりした銀彩がおもしろかった。

 V&Aは、団扇絵のコレクションに特長があるそうだ。団扇絵は実用的なものなので、保存されているものは数少ないのだとか。浮世絵師だけではなく、酒井抱一や鈴木其一の描いた団扇絵も展示されていた。歌川広重 「青楼花見略図」(People of Yoshiwara Enjoyng the Cherry Blossom)が気に入った。吉原の人々の花見行列で、たくさんの遊女に幇間が細かく描かれている。英語の題名もなんとなく楽しげでよい。また、豪華な狂歌絵本や肉筆画も。葛飾北斎「肉筆帖」に注目。4月に京都国立博物館で催される、河鍋暁斎の作品もいくつかあった。Va

 歌川貞秀 新板早替両面化物(かつしかの七ツ坊主ほか)

 これは完成品ではなくて、版下絵。V&Aのコレクションは、完成品だけではなく、このように、浮世絵の製作過程がよくわかるようなコレクションが充実しているのだそうだ。化物のそれぞれ前と後が描かれた絵を切り抜いて、真ん中に竹ひごなどの細い棒を挟んで、糊で張り合わせて、ちょうどペープサートの絵人形みたいに作って遊ぶおもちゃ。こんなおもしろいものは好き。こんなのミュージアムショップに売ってたら絶対買ってたし(笑)。

 昨年大阪で見た、ギメ東洋美術館蔵の浮世絵コレクションもそうだったが、19世紀のヨーロッパ人の、浮世絵を含む「ジャポニスム」への熱狂ぶりがひしと感じられる展覧会だった。 

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2008年1月13日

「初公開 ヴィクトリア アンド アルバート美術館所蔵 浮世絵名品展」 1

Va_2  浮世絵というものを知ったのは、もしかしたらその昔、永谷園のお茶漬けのパックに入っていたカードでだったかもしれない。東海道五十三次とかのシリーズがあって、ちょっと集めていたような気がする(笑)。近年また、展覧会があるたびに足を運び、見るようになった浮世絵。繰り返しいろいろな作品(作家もジャンルも多いので)を見ると、だんだんと自分の好みなどもわかってくるようでおもしろい。

 今日は神戸市立博物館まで、 「初公開 ヴィクトリア アンド アルバート美術館所蔵 浮世絵名品展」を見に行った。Va_7  

  無款(歌川豊春) 浮絵紅毛(オランダ)フランスカノ伽藍の図

 ローマの景観図。と言っても実際に作者が見たわけではなくて、18世紀中期のヨーロッパ製銅板眼鏡絵を忠実に写したものらしい。

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 鈴木春信 「座敷八景 手拭掛の帰帆」

 数ある女性の絵のなかでも、春信の描く女の人が一番好きかもしれないと。線が細くてやさしげで、とても優美。

 この絵は、「瀟湘八景」の見立てで、元の題材は「遠浦帰帆」。画面左下の手拭掛けに干された手拭がちょうど船の帆になっていて、特に目立ちはしないけど、気付けばくすっと笑えるおもしろさがある。「見立て」は楽しい。

 作品の解説が日本語なのによくわからないということはけっこうあるもので、そんなときは併記してある英語の説明を読むとかえって明快でよくわかることがある。ときには、こんな言葉になるのか、とおもしろく思うときも。例えば「東海道」が Tokaido Highway になっていたのが笑えた。ハイウェイって・・・。車がびゅんびゅん走ってるみたい(笑)。吉原の遊女は courtesan というらしい。クルティザンヌ、高級娼婦。「椿姫」とかもっと古くはデュ・バリー夫人とか?すごい洋風なイメージが頭に浮かぶけれど、吉原の花魁も、そう言えばそうかな。高い教養と美、そして厳しく客を選ぶ。後で辞書を調べたらフランス語(courtisane)と綴りが少し違って、コートザン(?)とたぶん発音されるようだ。しかしどういうわけか「芸者」は Geisha 。なんで?Va_5

 菊川英山 「風流琴碁書画 画 岡本屋内重岡」

 岡本屋という店の、重岡というクルティザンヌの絵。身に付けた諸芸の中でもこの人は絵が得意だったのだろう。扇面に思案顔で、福禄寿の絵を描いている。Img019_3  

 鳥居清峰 「遊君六歌撰 深川裏櫓 鶴屋内大淀」

 このクルティザンヌは深川は鶴屋という店の大淀という名前。これは美しい作品だった。横大判の錦絵が、二つに折って、本のように保存してあることもあって、衣裳の色合い、模様の細かさなど、現代の漫画家のカラーイラスト集を見るような感じもあった。Img020_3

 歌川広重 「貝細工(鶴、兎ほか)」

 細かく精密に書き込まれたものが好きな傾向がわたしには大いにあるようで、浮世絵の中に書き込まれたちいさな人も大好き。何をしているか何を食べているかを見るのはもちろん、表情を見、セリフを考え、そんなことをして遊んでいると一枚を見るのに時間がかかって仕方がない(笑)。

 この絵は、それぞれの貝細工の絵の横に、題材と材料になっっている貝の名前が細かく書いてある。でも字が読めないのはいかにも残念だ。絵の細部がとても緻密。

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