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samedi 06 janvier 2007

コンバット・レーション

  人はすべからくめしを食う。たとえそこが戦場であっても。

 わたしたちはたいてい、安定した状況下で心身ともに満たされる食事をしているのであるが、非常事態にあっても人は食べるわけで、そんなとき人はどんなものを、どんなふうに食べているのかには深く興味をひかれるところである。Photo_13

 『戦場でメシを食う』 佐藤 和孝/著 新潮社 2006年

 裏表紙の写真の面構えを見てもなるほど、と思ってしまうのだが、著者はその道26年の、世界の紛争地から生の報道をし続けるジャーナリストである。アフガニスタンでゲリラと共に行軍しながら凍ったナンをかじり、アチェのジャングルでゲリラと共にココナッツカレーを食べる・・・。自らが体験した、戦下の食にまつわる18のエピソードを綴った本である。世界にはこんなにも砲弾飛び交う地域があったのだ。そこに生きる人々が一刻も早く穏やかに食卓を囲めるように願ってやまない。

 「食べる」ということは生きることへの強い意思だ。いつ襲ってくるかわからない砲弾におびえながらも、食べるという行為を死守しようという人々には崇高さを感じる。Photo_15

『兵士の給食・レーション 世界のミリメシを実食する』 菊地 俊之/著 ワールドフォトプレス 2006年

 コンバット・レーションとはなんぞや。それは戦場で兵士たちが食べる戦闘糧食のことである。わたしがこのような少々軍事マニアっぽい食にまで興味を持ったのは、2001年に出版されたこの本を読んでからだ。Photo_16

 『戦闘糧食(コンバット・レーション)の三ツ星をさがせ!』 大久保 義信/著 2001年

 わたしは仕事で、毎週出版される本をすべてチェック(もちろん専用のカタログ誌のようなものを使ってであるが)するが、おそらくレーションに関する新しい本が出たのは5年ぶりであると思う。こちらに比べて『世界のミリメシ~』の方はオールカラーで、ヴィジュアルが充実しているので見ているだけでもおもしろい。すごいところは、どちらの本の著者もその戦闘糧食をすべて実際に食べてみているということだ。

 「あんまりおいしくないんだろうなあ・・・」とは皆思うだろうけれど、弟は、「研究に研究を重ねてるに決まってるからそこそこはうまいやろう」と言う。実際に食べてはいないからうまいかどうかはわからないけれど、読んでみると、なるほど、糧食は人間の長い戦闘の歴史の中で改良に改良を加えられ、今も進化し続けているということがわかる。今ではおなじみの、フリーズドライという技術ももともとは糧食用に開発されたものらしい。

 各国の現行の糧食がカラーで細かく紹介されている。各国ごとにお国柄が色濃く現れていておもしろい。著者の感想では、やはりフランスの糧食が特においしいとか。食事のほかに糧食には、兵士のエネルギー補給と疲労回復のために甘いお菓子類が必ずついているのだが、フランス軍のフルーツ・バーは「パテ・ド・フリュイ」タイプ。りんご味のそれは民生品の転用でなく軍用品であるようなのに、なぜか名前までついている。その名前は「ブルゴーニュ公爵夫人」。ご大層な・・・。

 オーストラリア軍のには、ベジマイトがついていたり、イギリス軍の糧食には紅茶が多めの3パックも。イタリア軍はもちろんリゾットにカプチーノ。独特なのはやはり日本と韓国で、缶詰のごはんはもちろんフリーズドライの野菜ビビンバや、缶詰のたくあんや、白菜キムチなども・・・。非常時ではやはり食べ慣れた味がベストなのだ。

 著者が、味とボリュームはなかなかで隠れた名品、と言うのが、ロシア宇宙糧食。え~、宇宙って・・・。と思ったら2001年にロシア宇宙軍というのができたのだそう。宇宙人襲来の危険が迫っているのかねぇ・・・。矢追純一とコンノ某に聞かねば。

 実際に食べてみたくなるレーションたち。でも平和な状態にいるわたしたちが面白半分に食べたりするのはやっぱり不謹慎なのかもね。 

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Commentaires

はっきり書けませんが、今、軍になるんじゃないかって話題のあの「隊」の人から訓練用の非常食もらって食べたことあります。
レトルトタイプのものでしたが、まあまあでしたよ。

Rédigé par: かもめ | lundi 08 janvier 2007 00:02

かもめさん,
なんと貴重な体験を!なかなか食べられるもんじゃないですよ。かもめさんが食べてまあまあなら、かなりおいしいということでしょう。

Rédigé par: はたこ | lundi 08 janvier 2007 23:00

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