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2005年11月15日

麩坊 雅六

 非常に細い道だけれど、六条通はちょっとした商店街になっている。新町を挟んで東と西では、道がぐいちになっていて少しわかりにくいが、どちらもかなり古くからの商店街であることは点在する店や、おそらく東本願寺参りの各地方の講の宿泊所であったと思われる旅館などを見るとわかる。新町より東には、「安政五年創業」らしい仕出屋もあるのだ。東本願寺の門前町として栄えていたのだろう。今は賑わい、というのはほとんどなくなってしまっているようだけれど、のんびりとしていて、わたしはけっこう好きな通りである。

 この六条通若宮に、麩藤という生麩の店がある。ここの直営の食事処が少し離れたところにあると知り、行ってみることにする。先日父と行こうとしてふられたのだが、そのリベンジである。焼き麩でも生麩でも、わたしは3歳のころから麩は変わらず好物なのだ。味噌汁の具は麩が一番、すき焼きも麩ばかり食べるものだから、家族からは”金魚”と言われた。麩饅頭は、苦手だった和食のお弁当の中のスターであった。

 前置きが長くなったが、その店は麩坊 雅六である。場所は、東洞院上数珠屋町の角。下京の子以外は、一瞬それがどこかわかるまい。しかしこの店は人気があるようだった。家から散歩がてらてくてく店に向かい、着いたのは11時45分。であるというのに、既に店内はマダムたちでほとんどいっぱいである。わたしの次に入って来た東京弁のマダムは「今日は予約のお客様でいっぱいで・・」と断られて、どうしよう、と途方に暮れていた。勝手の分からぬ土地でご飯難民は辛い。ともあれ、ぎりぎりセーフで入れてよかった。

 通されたのは個室。広くはないけれど、ゆっくりくつろげそうである。テーブルなのも足が痛くならなくてよい。まず、熱いお茶と、生麩まんじゅうが出される。笹に包まれた少し小さめの白い麩の中は、あっさりとしたこし餡。麩饅頭はできたてがおいしい。みずみずしくて、笹にくっつかず、つるりとしているのだ。

 お昼の麩箱膳は1000円から3500円まで。生麩田楽と野菜の炊き合わせが基本で、高くなるにつれて品数が増える。迷ったけれど、和え物と蒸し物が付いた1800円の祇園を選ぶ。

 湯葉そうめん  細切りにした湯葉がにゅうめんのように仕立ててある。上には青いもみじ麩。ほとんどお吸い物のようではあったが、汁の味はかなりしっかりしており、甘辛かった。

 いちょうしぐれ  生麩のしぐれ煮。上品な甘辛さがおいしい。

 まず以上の二品が出される。

 生麩の田楽  蓬と白の二種類の麩を軽く揚げて、味噌を塗ってある。蓬は白味噌、白は赤味噌。おいしかったのだけれど、温かかったらもっとよかったかな。

  小さな焼き鮭の切り身。脂がのっていた。

 野菜の炊き合わせ 湯葉・胡麻の生麩・小芋・蓮根・かぼちゃ・厚揚げ・もみじ麩

 湯葉は少し甘めに炊いてある。どれも薄味ながら味が染みていてなかなかおいしい。

 ごぼうの胡麻味噌和え

 麩(?)の湯葉巻き 甘辛く味付けして刻んだ麩(たぶん麩藤の六条麩かと)を湯葉で巻いて炊いたもの

 かやく麩の蒸し物 中に貝柱を入れた生麩の蒸し物に銀あんが薄くかかっている。下には大葉の葉。

 以上の料理が四角く区切った正方形の箱に入っている。

 ご飯 白ご飯と松茸ご飯の2種が、いちょう型の物相で抜いてある。横長の六角形の箱に入っている。

 生麩と三つ葉の味噌汁

 大根の漬物としば漬け

 量は多くはないがそこそこきちっと食べたという気になれる。一つ下の、1300円のものでもよいかもしれない。すばらしい、というほどではないように思うけれど、麩好きには満足だし、日常よりもちょっとしたお昼には十分な味。店の雰囲気も人も感じがよい。値も張らないし、旅の人のお昼にもいいだろう。

 *麩坊 雅六

 京都市下京区東洞院上数珠屋町東北角

 TEL 344-0412 水休

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