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vendredi 30 septembre 2005

高野山(2) 奥之院へ

 宿坊は街の中心部、「千手院橋」というところにある。ぱらつく雨の中、信仰の中心である奥之院へ向かう。途中お菓子司などもあり、見ればそれぞれに銘菓があるようだ。街のメインストリートには店が並んで、郵便局や銀行もあるのだが、コンビニはない。若者はあまり見かけないが、若い修行僧を含めてそのほとんどが高野山大学の学生なのだろう。

街を歩けば、いたるところにお寺があり、そのほとんどが「別格本山 ○○院」という名である。宿坊を営んでいるところも多く、そのどれもがきちんと整えられ、構えは非常に美しく、威厳と風格を保っている。あまりに「別格本山」が多いので、別格本山とは何ぞやと調べてみたが、もうひとつその定義がわからなかった。これほど僧侶密度の高い街はないだろう。一般の人よりもずっと多いに違いない。そして一般の人もほぼ全て真言宗なのだ。

 途中、ビルマの戦没者を供養するお堂と、苅萱堂に寄る。ビルマのお堂は狙ってはいないのだろうけれどかなりキッチュである。異国風の仏像に電飾の光背が点滅していたりするのだ。ここでは無料でビルマのお茶が振舞われた。

 苅萱堂は、高野聖が伝えた有名な(わたしは寡聞にして初めて知ったのだが)苅萱上人と息子、石童丸の伝説ゆかりの寺である。中にこの物語の半立体の絵が飾られているが字がたくさんありすぎたのであらすじだけでもわかればよいと、中に置いてある幼児向きの絵本を読む。この悲話は、平安時代の九州の領主、加藤左衛門繁氏の正妻と妾の争いに端を発する。ある日、正妻と妾が仲良く碁を打っているのを繁氏が見ると、なんと互いの髪の毛が蛇になって争っている!で、人の心の恐ろしさを見てしまった繁氏は、二人をこんなにさせたのは自分が悪かったのだ~!と二人を置いて出家してしまう。案の定妾は正妻に殺されかける。思わず、そんな勝手な、と思ってしまう展開の話なのであるが、争う髪の毛の蛇の絵の怖いこと怖いこと。子供は絶対夢に見てうなされるよ。

 あちこち寄り道をしながらいよいよ奥之院に着く。ここは弘法大師の廟があって、信仰の中心地である。ここで大師がお参りに来た人を出迎え、また見送って下さるのだという。「ありがたや たかのの山の岩陰に 大師はいまだ おわしますなる」という子供のころ祖母が教えてくれた御詠歌の地がここなのだ。本当かどうかは確かめるべくもないけれど、毎年新しい旅装束を廟に納めておくと、まるで使われたように、1年後その装束はぼろぼろになっているという。この歌のとおり、大師は今も衆生救済に東奔西走してくださっているのかもしれない。

 奥之院へと続く長い参道には、織田信長、豊臣秀吉、上杉謙信、春日局など華々しい歴史上のセレブたちや各国の大名家の墓が建ち並ぶ。長く神仏は習合していたから、墓の前に立派な鳥居が建っているものも多い。雨の多い気候だからであろう、どれも苔むして長い時の流れを感じさせる。また、参道には、触ると願いがかなうというみろく石や、覗き込んで姿が映らなければ死ぬというちょっと怖い姿見井戸などがある。井戸では思わず何度も確かめてしまったよ。

 一の橋、中の橋、そして御廟橋と3つの橋を渡るといよいよ奥之院である。ここは聖地中の聖地であるので脱帽が要求され、写真撮影も禁止になっている。御廟に丁寧にお参りし、弘法さんに挨拶をし、ようやくこうしてお参りに来られたことを感謝する。東寺の近くで生まれ育ち、祖母と共に21日の「弘法さん」に出かけ、東寺の南の「高野山の方向に向かって拝むポイント」からいつも拝んだ。そこで祖母はいつも「ありがたや~たかののやまの~」と口ずさむのだ。祖母は四国出身で、元々真言宗の人なのだった。だからわたしも「弘法さん」にはとても親しみがあるのだ。

 別に真言宗でも真宗でもカトリックでも神道でも、何か子供のころから親しんだ宗教があるのはよいことだと思う。それは大人になってからも、得体の知れない宗教まがいや、カルトや洗脳から自分を守る強力な武器となるだろう。

 奥之院には奉納されたたくさんの小さな大師像や、燈篭を納めた燈篭堂がある。きっと八十八ヶ所巡りを結願した人々が奉納したのだろう。職場の人も一人、何年がかりかは知らないが、もうすぐ結願し、総仕上げにここ高野山に来るそうだ。結願の暁に参る御廟はまた違った感慨を抱かせてくれるのだろうと思う。 

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